「数か月前に購入したロレックスを買い取りに持ち込んだら、購入価格以上の買い取り価格が提示された!」
あるいは「何年か前の買ったロレックス、今こんなに高くなってるの!?」・・・
資産価値が非常に高いロレックスやパテックフィリップにおいて、これらは十分に考えられる展開です。
事実、つい先日アメリカで、1974年に当時約3万8000円で購入したデイトナ 6263が、現在価格4400万円と鑑定された、というニュースが世界中を駆け巡りました。
そこでこの記事では、これから価格高騰しそうなロレックスについて書きたいと思います。
あくまでも予測にはなりますが、ご参考までにご覧下さい。
※掲載する情報は2020年5月現在のものとなります。
目次
価格高騰しそうなモデル① エクスプローラー214270 ショートハンド・ブラックアウト
まず紹介したい価格高騰を予感させるモデルは、現行エクスプローラー 214270の旧型です。
現行エクスプローラーIは2010年の登場ですが、2016年にマイナーチェンジを行いました。インデックスの3・6・9にクロマライト夜光を新たに塗布し、さらに時分針を太く長くしたのです。
しばらくは新型文字盤の方が出たばかりで稀少性が高い、ということで高値が続いていましたが、どうも最近要素が違います。
と言うのも、新型文字盤のリリースから約4年が経つ中で、少しづつではありますが旧型の方の稀少価値が注目されるようになってきたのです。
上:新型文字盤 / 下:旧型文字盤
画像で比較するとわかりやすいでしょう。旧型のインデックスは、夜光もメタル縁取りもなく、シンプルなシルバーで仕上げられていますね。この仕様はブラックアウトとも呼ばれ、最新型では味わえない個性があります。
なお、針が短いことでショートハンドといった呼称もあるので、ぜひ覚えてみてくださいね。
前述の通り214270は2010年に発売されたモデルですが、短い針と夜光塗料の施されていないインデックスは6年間しか製造されていないことになります。
つまり、仮に今後20年にも及ぶロングセラーとなった場合、初期の6年間しか製造されなかった旧型はレア個体となる可能性が高いです。
旧モデル14270のE番とX番に見られるブラックアウトのように、いずれはコレクターズアイテムとして価格高騰が予想されます!
こちらは3・6・9にブラックのラインが施されたタイプですが、もう1つメタルのみのタイプがあります。
価格高騰しそうなモデル②トリチウム/シングルロック
次に注目したいのはネクストヴィンテージです。
近年ロレックスのヴィンテージモデルは高騰傾向にあり、ヴィンテージ感を秘めた個体たちの価値が上がっています。
ヴィンテージロレックスには幾つかの評価ポイントがありますが、とりわけ注目したいのはトリチウム夜光塗料です。
文字盤の6時位置縁に「T<25」と記載された個体がヴィンテージモデルには見受けられますが、これこそがトリチウム夜光を搭載している証明となります。
ロレックスのみならず、時計業界の夜光塗料はいくつかの変遷を経ています。古くはラジウム。その後トリチウム。そして現在はルミノバや、ロレックスは自社開発したクロマライトを採用しております。
トリチウムは、ロレックスでは1998年頃まで使用されていました。この、トリチウム夜光が使われていた個体が、価格高騰として熱いな、と・・・!
なぜなら、トリチウム夜光は経年により茶色に変色してヴィンテージ感を醸し出す。という特徴を持ちます。上品に焼けたトリチウムは非常に美しく、今ではヴィンテージファンからきわめて高い注目を浴びるようになったのです。
さらに言うと、トリチウムは経年によりヒビ割れてしまい、その破片がムーブメントへ入り不具合を起こしてしまう懸念があります。
そのためロレックスにメンテナンスに出すと、よほど状態の良い状態でない限り”ルミノバ夜光塗料”の針に交換される可能性が高いです。
時代が進むにつれ、交換されていないオリジナルの”トリチウム夜光塗料”の施された針・インデックスは希少となってなり、それが買取価格にも反映され始めています。
今後もその稀少価値は上がり続けるため、いつしか更なる高騰を果たす日も近いでしょう。
なお、「T<25」の意味はトリチウムの頭文字「T」とガラスの外側で計測した放射能量が25ミリキュリー以下という意味を表しています。
人体に影響を与える量ではないとはいうものの、放射能を持つゆえに次第に使われなくなっていったのですね。
シングルバックルにも注目
モデルによって年代が変わりますが、スポーツモデルにも”シングルロック”が採用されていました。
現行スポーツモデルは全て”ダブルロック”に切り替わっているのでこの”シングルロック”も状態の良い個体を見つけるのは困難になってきています。
「トリチウム夜光のシングルロックのスポーツモデル」
これが”ネクストヴィンテージ”として価格高騰が予想されます。
なお、トリチウム×シングルロックのロレックスは、5桁リファレンス以前の製造個体に見られますが、エクスプローラーI 14270やエクスプローラーII 16570、GMTマスター 16700など、製造期間が比較的長いものなどは仕様が入り混じっている可能性があります。
既にお持ちの方はご自身で見て頂いたり、ヴィンテージロレックスに精通した時計専門買取店に査定に出すことでどのような仕様か確認できますが、これから価格高騰に期待してご購入になる方は、ちょっと気をつけて見てみましょう!
価格高騰しそうなモデル③ デイトナ16520
価格高騰の代表としては、やっぱりデイトナは外せません。「既に価格高騰」してはおりますが、「今後さらい価格高騰しそう」なのが歴代デイトナ全てに言えることです。
ステンレススティールモデルはどのモデルも2018年から2019年にかけて異常な高騰を見せました。
2020年5月現在においてはやや相場が下がりましたが、再び価値が上がる可能性は大いにあります。
特に注目したいのは現行の2世代前のエルプリメロ搭載の16520。
最終のP番やA番はもちろんブラウンアイダイヤルや200タキ、段落ち、逆6などなどプレミア価格の個体がたくさんあります。
◆ブラウンアイダイアル(インダイアルやブラウンに良い感じに焼けた個体)
◆200タキ(ベゼルのタキメーターの最大値が200になった個体。225タキもある)
※画像はデイトナ 6263となります
◆段落ち(12時位置のテキストが、5列目「COSMOGRAPH」だけが少し行間を空けて下がった位置に配置された個体)
◆逆6(6時位置の12時間計の6の数字が逆さになった個体)
こういったレア仕様は、今後さらに個体数が減少する可能性が高く、買取価格は上がると予想します。
尚、高級時計において保証書の有無は査定額を左右する大きなポイントですが、16520のプレミアモデルはコンディションの良い個体が少なくなっているのと共に保証書が付属している個体も少なくなっています。
そのため、保証書が有るか無いかで30万円は変わってきます。保証が切れたからといっても処分せず保管をお願いします。
価格高騰しそうなモデル④ デイトナ116520 最終モデル(ランダムシリアル)
デイトナの、一世代前の116520です。2000年~2016年までリリースと本当に長寿命だったモデルで、その長年の製造期間の中で、仕様変更が行われました。
116520も既に価格高騰していますが、長い目でみて、まだまだ価格高騰しそうなモデルです。
とりわけ、「クラスプ仕様」が価格高騰しそうなロレックスとして狙い目です。
と言うのも、116520は2015年の途中でクラスプがマイナーチェンジされました。
つまり、2016年に新型デイトナRef.116500LNがリリースされたため、新クラスプ(ポリッシュ)がデリバリーされていた期間は2年程ということになります。
新クラスプ(ポリュシュ)
旧クラスプ(サテン/梨地)
ちなみに前項でご紹介した16520のA番・P番も、フラッシュフィットが一体型になってから2年でRef.116520に切替わり、今ではプレミア価格といえばRef.16520のA番・P番になりました。
併せてシングルロックにも言えることですし、クラスプは価格高騰に大きな影響を与える要因と考えられるでしょう。
価格高騰に期待して116520のご購入をご検討の方は、是非クラスプにご注目ください。プレミアモデルとして高騰する前に手に入れれば、将来得をする可能性が高いです。
なお、デイトナ 116520の最終品番モデルの中では、さらに新保証書付属品も要チェック!
2014年以降の製造個体には、現行にも採用されるカードギャラが付属しており、既に買取査定時にプラスに反映される傾向にあります。
また、既に最終品番モデルの相場高騰につられて、通常個体が値上がりしている現象も見られます。
いついかなる時も価格高騰のポテンシャルをはらんでいる・・・それがデイトナという存在でしょう。
価格高騰しそうなモデル⑤ シードゥエラー 126600(赤シード) ノークラウン
バーゼルワールド2017でリリースされた、シードゥエラーの最新世代126600。
初代モデルの一部にのみ見られる、「赤シード」をリバイバルしたことで話題になりましたね。これは、6時位置の「SEA-DWELLER」のロゴが赤く染まった仕様で、アンティークロレックスの中でもコレクターズアイテムとして屈指の高値を誇っています。
そんな赤シードのリバイバルとあって、シードゥエラー 126600の人気は発売当初からきわめて高いものがありました。2017年以降、歴代シードゥエラーのほとんどのモデルが価格高騰し続けているほどです。
しかしながら2018年~2019年頃、126600の発売からまだ何年も経たないうちに、ひっそりと仕様変更が行われました。
これはシードゥエラーだけの話ではないのですが、6時インデックスのすぐ下の「SWISS MADE」の間に、クラウンが記載されるようになったのです。
左:クラウン無し 右:クラウン有り
2019年頃から、クラウン有の個体が出回るようになりました。何年製造個体から、というのは定かではありませんが、初期型はノークラウン、現行はクラウン有、ということになります。
今後126600が何年製造されるかはわかりませんが、つまり「ノークラウン」は初期製造個体にのみ見られるレアポイントということになります。
これが影響してか、シードゥエラー 126600のノークラウン個体の文字盤を「マーク1」と呼び、ジワジワと価格高騰しつつあるのです。
また、マーク1は文字盤の1220mの「1」が飾り装飾のない「1」となっています。
まだ「ジワジワ」と言った程度で、買取価格に反映されているわけではありません。
しかしながら今後年月を経るにつれて、稀少性が増すことは間違いありません。
既にお持ちの方も、これから価格高騰に期待してご購入になる方も、相場動向から目を離さないようにしましょう!
最後に
ロレックスは人気がなく廃番になったモデルや数年の間にしか採用されなかった仕様、そしてオリジナルパーツ・付属品が残っているアンティークモデルなど、価格高騰に多くの共通点があります。
これまでの傾向を踏まえれば、今回ご紹介したモデルも高騰する可能性が高いでしょう。
■214270のショートハンド・ブラックアウト
■トリチウム夜光・シングルロック
■16520 保証書有り
■116520 ポリッシュクラスプ
■126600 ノークラウン
これらの時計のご購入を検討されている方、既にお持ちの方。是非注目してみてください。
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この記事を監修してくれた時計博士
池田 裕之(いけだ ひろゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
1982年生まれ・熊本県出身。
20代でブランド販売店に勤務していく中で、高級時計に惹かれ、その奥深さや魅力を知っていく。29歳で腕時計専門店へ転職を決意し、GINZA RASINに入社。
豊富な時計への知識を活かして販売・買取・仕入れに携わり、2018年8月にはロレックス専門店オープン時、店長へ就任した。販売・買取ともにリピーターが多い。時計業界歴17年。