今、パテックフィリップ ノーチラス 5711/1Aの価格が異常な程に高騰しております。
「今」というよりも、ここ数年、ずっと右肩上がりの相場ラインを描いていると言っても過言ではありません。
確かにノーチラスは、パテックフィリップはもちろん高級時計業界を代表するラグジュアリー・スポーツウォッチです。その傑作ぶりに疑いの余地はありませんが、それでもこの価格高騰ぶりは異常と言っていいでしょう。
様々な社会情勢が要因となって「相場が落ち着きつつある」とは言え販売価格は定価の二倍以上になっており、買取相場もそれと比例してきわめて高額が提示されています。
何故ここまで価格が高騰しているのか?パテックフィリップ ノーチラス。さらには2021年に、生産終了…!?
その人気の理由と、現在の相場についてご紹介いたします!
※掲載する情報は2021年1月現在のものとなります。
パテックフィリップ ノーチラス 5711/1Aの基本スペック
スペック
ガラス素材:サファイアクリスタル
文字盤:ブラックブルー
仕様:シースルーバック
防水:12気圧防水
ケースサイズ:40mm 厚さ:8.3mm
ムーブメント:自動巻きCal.324SC(2019年頃よりCal.26-330 SCに移行)
定価3,872,000円(税込)
パテックフィリップを代表するラグジュアリー・スポーツウォッチ、ノーチラス。天才時計デザイナーと名高い、故ジェラルド・ジェンタ氏によって手掛けられました。
初出は1976年。40年以上の歴史の中で様々な名作ノーチラスが同社より生み出されましたが、中でもひときわ人気が高いのが5711/1Aです。
2006年に誕生し、現在一世を風靡しているモデルです。
旧型モデルであるRef.3800/1のケースサイズは37mmと少し小ぶりでしたが、5711/1Aはケースサイズ43mm(縦は38mm) と大型化され、よりスーツスタイルにもスポーツシーンにも合うオールマイティなモデルになりました。さらにシースルーバックが採用され、パテックフィリップが誇る銘キャリバーやゴールドの美しいローターなどを鑑賞できるようになったことも、特筆すべき仕様です。
なお、2010年に一度ブレスレットにマイナーチェンジが施され、青文字盤ノーチラスのリファレンスは5711/1A-001から現在の5711/1A010へと変更されました。
ちなみに2006年の発売当初は、ブラックブルー文字盤のみの取り扱いでしたが、2012年に白文字盤がラインナップに追加されています。
しばらくは青・白で併売されていましたが、2020年、突如として白文字盤の方がカタログ落ちとなりました。
さらには2021年、ついに青文字盤の生産終了も決定となります。
現行の3針SSノーチラスは5711がなくなってしまうと、レディースラインのRef.7118のみとなります。ローズゴールド製の5711/1Rは残留となるようですが、これだけ人気も歴史もあるモデル。完全廃盤は考えづらいでしょう。
そこで後継機の噂も出ており、その型番は6711である、なんて声もあるとか。
真実はパテックフィリップのみぞ知る。
新型コロナウイルスの影響によりパテックフィリップは2020年新作発表を見送ったため、2021年4月に予定されている見本市Watches & Wonders Geneve(旧SIHH)で何らかの後継機がリリースされるのでは…と予想します。
後継機には期待が高まるところですが、生産終了の報と同時に5711/1Aの白・青どちらの相場も爆上がりを見せています。
いずれも高い人気を誇っていますので、今後さらに供給が需要に全く追い付かない状態となり、価格急騰が危ぶまれます。
パテックフィリップ ノーチラス 5711/1Aの価格高騰
「異常な程の価格高騰」と冒頭で申し上げましたが、では、ノーチラス 5711/1Aの青・白文字盤は、それぞれどれくらいの相場を記録しているのでしょうか。
現在の並行相場は以下の通りです。
ノーチラス 5711/1A-010
ノーチラス 5711/1A-011
ノーチラス 5711/1Aは定価では買えない?
大人気の青文字盤に至っては1000万円前後~、白文字盤も950万円前後~と、とてもステンレススティール製とは思えない時計の価格ですね。
中古であっても、コンディションにもよりますが定価の倍以上もの値付けが行われている状態となります。
確かにパテックフィリップは「ステンレススティール製」とは言っても、世界最高峰の製造技術でもって、大量生産には不可能なクラフトマンシップ溢れる逸品を生み出しており、どうしても定価自体が高くなりがち。
しかしながら現在、この定価があってないようなものとなりつつあります。
もうずっと品薄続きで、正規店で手に入れることはほぼ不可能であるためです。
ちなみにパテックフィリップでは、ロレックスのように2020年2月より、ノーチラスを始めとした一部モデルで購入制限を開始しました。同一モデルの再購入を不可能とする、というものです。
しかしながらそもそも「購入」まで至らず、予約のためのウェイティングリストは長蛇の列…数年待ちは当たり前のことから、新規予約を一切受け付けていないといった声まで囁かれています。
さらに生産終了が決定した今、白・青文字盤ともに1000万円近くまで相場高騰させるのは、もはや想像できた事態と言えるかもしれませんね(もっとも、2019年の夏および2020年3月にも大きく相場高騰しています)。
ただし、これからノーチラス 5711/1Aのご売却をお考えの方にとっては、思わぬ利益を手にするかもしれない、ということを示唆します。
繰り返しになりますが、ノーチラスの相場は右肩上がりを描き続けてきたためです。
現在、新型コロナウイルスや円高といった社会情勢が背景にあり、若干相場は落ち着きつつありますが、それでもプレミアぶりはご覧の通りです。
世界最高峰の時計を製造するブランドの銘品は、お値段も、そしてリセールバリューも世界最高峰なのでしょう。
パテックフィリップ 5711/1A 人気の理由とは?
定価に縛られない並行輸入価格、いわゆる相場は、需要と供給に大きく影響されます。
もともとパテックフィリップの年間製造個数自体が少ない、というのもありますが、供給をはるかに上回るような人気集中によって、現在の価格高騰が誘発されている状態です。
何故ここまで人気が高いのでしょうか?
その理由の一つには、前述の通り製造個数が極端に少ないことが挙げられます。
正式に発表されてはおりませんが、年間1000本くらいといわれております。日本、中国、インド、アメリカ、欧州・・・世界中の需要をまかないきれるような生産数ではありませんね。
また、8.3mmというケースの薄さでありながら、12気圧防水という高い防水性も兼ね備えており、その高い機能性も評価されております。
他にはないノーチラスならではの特徴的なデザイン性も人気の一つです。
さらに、先ほど少し触れましたが、高級時計市場が国内外で急速に拡大し続ける中で、今なおどんどん需要が高まり続けている、という要因もあります。
ロレックスやパテックフィリップといった人気ブランドの人気モデルへの、憧れや購買欲は万国共通です。もちろん今後の世界情勢等は不確実な面も多々ありますが、ことパテックフィリップ人気は健在。今後も拡大していくことでしょう。
さらに需要に供給が追い付かなくなり、より大きな価格高騰ラインを描いてしまうかもしれません。
まとめ
パテックフィリップは近年定価も上昇傾向にあるため、投資目的に購入される方が増えているのも現状です。
今までにない価格高騰を見せたノーチラス5711/1A。生産終了した今、さらなるドラスティックな相場変革があるやもしれません。
ご売却を検討されている方は、大きなチャンスを迎えつつあると言っていいでしょう。
【GINZA RASIN】ではパテックフィリップの高額買取に力を入れております。売却を検討されている方は是非一度お問い合わせください。
この記事を監修してくれた時計博士
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代から腕時計好きで、大学卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売・仕入れの経験を経て2016年3月より本店 店長へ就任した。
得意なブランドはロレックス・パテックフィリップ・オーデマピゲだが、幅広い知識のもと、あらゆる商品情報や相場の造詣が深い。時計業界歴10年。