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時計買取, 時計買取の基礎知識

ネットオークションやSNSでの高級ブランド品購入。トラブル実態を調査してみました!

ヤフオク,メルカリ,ラクマといったネットオークションやフリーマーケット。あるいはインスタグラムやTwitterといったSNS。

近年ではこういった媒体を用いて、誰もが気軽に不要品を売ったり、市場にはなかなか出回っていないようなモノ・価格の商品を買ったりすることができるようになりました。こういった業者・個人の電子商取引は便利なことに加えて、「二次流通市場」を盛り上げる大きなきっかけとなったことはとても意義深いことでしょう。

一方で、電子商取引における「トラブル」が社会問題になってもいます。

そのトラブル事例は様々ですが、本稿では、特に「高級時計や高級ブランド品購入」に焦点をあててその実態を調査していきたいと思います。

なぜなら高額品に関連したトラブルは詐欺行為によって購入者へ損害を与えるのみならず、コピー品や粗悪品,あるいは盗品を市場に流通させる事例があるためです。これは時計業界としても、大変に憂慮すべき事態として認識されています。

対象者1000人に6個の項目でアンケートを行い、「トラブルにあった比率」「トラブル例」「解決事例」等を調査してみました!

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※今回の調査では、大手ECプラットフォーム(Amazon含む)やメーカー・専門店の通信販売事例は除いてスクリーニングいたしました。

※本稿は電子商取引の利用を否定するものではありません。取引時におけるトラブルに対し注意喚起を行うことが目的です。

 

ネットオークション・フリマアプリ・SNSを用いた電子商取引の実態

「電子商取引(eコマース)」とひとまとめにしていますが、ネットオークション・フリーマーケットアプリ(以下フリマアプリ)・SNS上での売買はそれぞれ性質が異なります。

ただし、ネットオークションとフリマアプリに関しては共通項も多く、現在ではその境界線も曖昧となりつつあります。

どちらもある企業がプラットフォームを提供し、その場で個人または法人(以下業者)が物の売買を行う、という点では同一です。

ネットオークションはヤフオクに代表されるシステムで、オークション方式で落札価格が決定されるということが何よりの特徴です。

一方のフリマアプリはメルカリやラクマ等が有名で、売値は出品者が決定します。

もっともヤフオクにも「即決価格」と呼ばれるものがあり、これに納得する購入者は該当価格にて「今すぐ落札」が可能となります。

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また、商材もネットオークション・フリマアプリともに特に決まりはありません。もっとも、フリマアプリは「フリーマーケット」の語源の通り、身の回りの不要品を出品する、といったマインドが大きくなります。そのためファッション小物やアパレル,雑貨が多いという特徴を持ちます。

一方のヤフオクの商材はフリマアプリ以上に多彩。高級ブランド品や家電はもちろん、雑貨や文具の他、車まで取引されており、その分フリマアプリの利用者が比較的若いことに対し、ヤフオクでは本当に幅広い層の利用が確認できますね。

購入者側の決済方法はプラットフォーム企業によって異なりますが、サイトを通した銀行振り込みや電子決済がメインです。

 

なお、SNS上においては、電子商取引と言うより「個人間での譲ります」のような色合いが濃いかと思います。

もともと交流を行う場ですので、商取引については運営側は一切のサポートを行いません。そのため商材も決済方法も当事者次第といった様相です。

 

このようなインターネット上での電子商取引は、年々拡大の一途を辿っています

経済産業省のとりまとめによると、2019年の国内電子商取引市場規模(BtoC)は19.4兆円。前年比は+7.65%です。また、個人間(CtoC)における国内電子商取引の市場規模だけを見ても1兆7,407億円。前年比は+9.5%です。

このCtoC市場規模はフリマアプリの急速な成長が担うところが大きく、BtoC市場を侵食するほどではないものの、今後もこの勢いは加速していくことが見込まれています。

 

さらに言うと近年では社会のグローバル化と比例して越境ECも急速に浸透しています。輸送技術の発達もこの浸透に大きく寄与しているでしょう。

とりわけ中国・米国市場は大きく、今後、国際的なBtoC及びCtoCが加速することは十二分に考えられます。

 

しかしながら冒頭でも述べたように、電子商取引の市場規模の拡大と比例して増加しているのが「トラブル」です。

グラフ出典:消費者庁 『デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関するプロジェクトチーム 現状と今後の課題』(令和元年12月5日)

上のグラフは、消費者庁がとりまとめたフリマサービスの相談傾向推移です。ネットオークションやSNS上での取引は含みませんが、フリマアプリだけで一気に急増していることがおわかり頂けるでしょう。

 

なお、ネットオークションやフリマアプリ上では、ユーザーへの詐欺行為を目的とした集団が一定数いることも事実であり、社会問題として取沙汰されています。

私たちにとっては、どれくらいの集団がどれくらいの規模でトラブルを作り上げているのかまではわかりません。一方で売り手側も期せずしてトラブル源を作ってしまった、ということもあるでしょう(コピー品だと知らなかった,外装に問題はないと思っていたのにクレームに発展した等)。

 

また、ヤフオクやメルカリといった大規模なプラットフォームには出品規定が存在する場合がほとんどです。

ガイドラインに沿わない商品を出品すると取り消しされ、該当行為を繰り返す場合は出品停止措置受けます。この「ガイドラインに沿わない商品」には当然偽物(コピー品)も含まれているのですが、現状で運営側が全ての商品を確認することは難しく、コピー品が真正品のように出品されているケースがあるようです。

 

こういった現状を鑑みるに、「高級時計や高級ブランド品の電子商取引」について調査し、どれくらいのユーザーがどのようなトラブルに遭っているかを提示すること。つまりトラブルに遭遇してしまった方々の経験を活かすことで、これから電子商取引を利用する方々への注意喚起や気づきに繋がると考えられます

次項より、ネットオークションやフリマアプリ,SNS上での電子商取引におけるトラブル実態をご紹介いたします。

 

 

ネットオークション・フリマアプリ・SNSでの高級時計・ブランド品の売買に関する調査

今回の調査では、25歳以上の男女を対象に、下記の項目をアンケート調査しました。

 

設問①5万円以上の高級時計またはブランド品をネットオークション(ヤフオク等)・SNS・フリマアプリで購入したことはありますか?

5万円以上の高級時計またはブランド品を該当プラットフォームの電子商取引で購入したことのある割合は、28%でした。

「ある」のうち、男性は89%、女性は11%と、圧倒的に男性ユーザーの高額品の購入経験率が高いことがわかります。

 

なお、年齢・世帯年収別に見てみると、下記の通りとなります。

年齢では40代の利用経験が最も多く、次いで30代となります。一方で60代以上の高齢層の購入経験が多いこともわかりました。

この背景にはスマートフォンの普及でインターネット利用の垣根が世代を超越している現状があり、今はまだ「ない」を凌駕しないものの、利用者は世代問わずますます増えていくことが考えられます。

 

世帯年収別では、700万円~800万円未満の層が「ある」とした回答が最多でした。

次いで600万円~700万円未満、1,000万円~1,200万未満、400万~500万未満と続きます。

 

 

設問②高級時計またはブランド品をネットオークション(ヤフオク等)・SNS・フリマアプリ等の個人間取引で購入する際、以下のような不安を覚えましたか?

 

ユーザーが高級時計またはブランド品を当該プラットフォームで購入する際、最も不安を抱えているのは、「商品」に関してでした。

なお、消費者庁によると、通信販売含む電子商取引上での消費者相談で、最も多い内容が「商品について」である、とのこと。

今回の調査でも「外装面への問題」「コピー品」が懸念事項であることが見て取れます。

 

ただし、どういった不安を覚えたかにかかわらず、購入に踏み切ったユーザーは設問①で挙げたように28%。なぜ購入したかの調査までは行っていませんが、購入前に不安が解消された・あるいは不安を抱えたまま購入したということがわかります。

 

 

設問③ネットオークション(ヤフオク等)・SNS・フリマアプリでの高級時計・高級ブランド品購入時、トラブルに遭ったことはありますか?

もともと「ネットオークション・SNS・フリマアプリ」で高級時計・高級ブランド品を買ったことがある層のパイは少ないものの、なんと4割を超えるユーザーがトラブル経験を持つことがわかりました。

 

年齢別にトラブル遭遇者の割合を見ると、以下の通りです。

年齢による大きな違いは見られないものの、最も経験したと答えた比率が多かったのが50代です。なお、20代はそもそも設問スクリーニングで該当者が少なかったため、こちらの比率もまた低いことが伺えます。

 

世帯年収別ではこちらです。

これまた「(高級時計・ブランド品の)購入経験がある」とした層が多かった700万~800万未満、次いで800万~900万未満のユーザーが、トラブルに遭っている比率が多いことがわかります。

 

 

設問④ネットオークション(ヤフオク等)・SNS・フリマアプリでの購入時に遭遇したトラブルはどのようなものでしたか?

前述した通り、消費者相談として寄せられる電子商取引のトラブル事例で最も多いのは、「商品」に関するものです。

今回の調査では複数回答となりますが、「傷,汚れ,破損等、外装面への問題」(69%)におけるトラブルが最も多く見受けられました。

次いで「商品説明と実際の商品状態に相違があった」(46%)「商品が届かなかった」(38%)と続きます。

アフターサービスに関しては他項目に比べれば多く取沙汰されていませんが、時計専門店としては無視できないところ。詳細は後述しますが、高級時計はとりわけアフターサービスの充実が重要視されているためです。

 

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また、冒頭でも述べたように、偽物(コピー品)の存在も由々しき事態です。

コピー品が出回るということは該当ブランドの製品の市場価値を狂わせたり本物の流通量が著しく低下してしまったりすることに加え、ブランドネームそのものの信頼性を損なう可能性があります。

業界にとってこれは、大変な痛手となります。なぜなら良い製品が正統に評価されず、コピー品にシェアを奪われてしまうことを意味するためです。

もちろん各社は手をこまねいているわけではなく、偽造品防止策を製品に施しています。しかしながら近年のコピー品の精度は高まるばかりで(口惜しいことですが)、いたちごっこになっているのが現状です。

購入時には気づかなかったという方もいらっしゃるでしょう。メーカーや民間修理会社にメンテナンスに出して、初めてコピー品と判明するケースは少なくありません。

その他では、「キャンセル」や「返品時」のトラブルを回答したユーザーが見受けられました。

 

 

設問⑤トラブルはどのように解決しましたか?

設問③でトラブルにあったとするユーザーを対象に、トラブルがどのように解決したかの調査も併せて行いました。すると、下記の設問を行ったにもかかわらず、なんと7割超のユーザーが「解決しなかった」を選択しています。

※「発送された商品の受取を拒否した」「入金しなかった(していなかった)」「警察に被害届を出した」「弁護士に相談した」「その他」の項目もありましたが、回答者がゼロだったためグラフからは省きました。

 

もちろんトラブルの中には些細なものもあるでしょう。単なる出品者側と購入者側の認識の違いなどもトラブルを招きがちですが、これは一概にどちらが悪いとは言えません。

しかしながら「解決しなかった」とする声の中には、設問④で「商品に問題アリ」としたユーザーを含みます。

つまり、電子商取引において重大なトラブルを経験しても、結果的に泣き寝入りとなってしまったケースは少なくないことを示唆しています。

 

 

結論:ネットオークション・SNS・フリマアプリ等の電子商取引で高額品を買うのはあり?なし?

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冒頭でも注記しているように、本項はネットオークション・SNS・フリマアプリ等の電子商取引の利用を否定する目的ではありません。事実、当店GINZA RASINでも、ヤフオクに出品させて頂いております。

しかしながら今回の調査でわかったことは、「高級時計・ブランド品を上記プラットフォームで購入した層」のパイは少ないとは言え、半数近くのユーザーが何らかのトラブルに遭っていることがわかりました。すなわち、おおよそ二人に一人、ということですね。

こういった経緯から、高級時計・ブランド品購入には、相応のリスクが伴うことがわかります。

 

また、高級品は、あまり信頼のおけない業者や個人から購入してしまうと、モノが良かったとしても前述した「アフターサービス」で結果的にトラブルを経験する可能性があります。

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高級時計を例に採ると、使い続けていくうえでオーバーホールが必要になります。

オーバーホールとは分解洗浄とも言うように、内部のムーブメントをいったんバラして洗浄し、再度組立を行う作業です。この際に潤滑油を新たに注油する、という作業を繰り返すことで、高級時計は年式を経ても末永く愛用していくことができるのです。

メーカーや信頼できる時計専門店であれば、自社購入品に対して手厚いアフターサービスを設けており、オーバーホールの際にとても役立ちます。また、オーバーホールでなくとも、ちょっとした衝撃や磁気で動作の不具合が出てしまう個体もあり、そういった場合にアフターサービスを利用できると思えば心強いですよね。

 

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もちろんメーカーや民間修理会社にユーザー自身が持ち込むことも可能です。

ただし、メーカーの中には自社がラインセンスを発行している正規店・正規代理店以外の場所での購入個体に対して、「アフターサービス差別」を設けるところもあります。これはオーバーホール代金を著しく高く設定する、といったもの。せっかく「ネットオークションで欲しい時計が安く買えた!」と思っても、メンテナンスで余計にお金がかかってしまっては、お得感は低減されてしまいますね。

また、良い民間修理会社に出会えるかどうかも、ユーザー次第です。よっぽど時計に精通したユーザーでなければ、難易度が高いと言えるでしょう。

これらのリスクを避けるためにも、ネットオークション・SNS・フリマアプリでの高級品購入は、細心の注意を払わなくてはなりません。

 

高級時計や高級ブランド品をネットで買ってはいけないのか?

では、ヤフオク・SNS(Twitterやインスタグラム)・フリマアプリで高級時計や高級ブランド品を購入してはいけないのでしょうか。

正直、個人間取引であればお勧めはできません。止めておいた方が無難と言えます。商品自体に問題はなくとも、前述した「アフターサービス」の際にトラブルに発展する可能性があるためです。

 

しかしながらヤフオク等では、当店のように実際の専門店が出品しているケースもあります。

そういった、実績があり、信頼できる店舗を選択するというのはとても大切な対策の一つです(ただしヤフオク出品には手数料がかかるため、通信販売を行っているお店は自社サイトの方が販売価格が安く設定されていることがほとんどです)。

出品者の店名や所在地で検索したり、該当出品者のホームページで実績を確認したりといった作業を怠らないようにしましょう。

なお、「評価」「口コミ」を確認することも同じように大切ですが、それら全てを信頼して良いかどうかはプラットフォームにもよります。中には実際の購入者以外が自由に書き込めるタイプもあり、結果として「サクラ」「ヤラセ」が横行することも。

どういった層が評価・口コミを行っているかは、やはり検索で一度調べてみる必要があります。

 

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なお、電子商取引上での治安悪化に対して、全てのプラットフォーマーや国が手をこまねいているわけでもありません。

例えばヤフオクを運営するヤフーでは、出品者の本人確認強化を2006年という早い段階からスタートさせました。

また、2020年8月よりアマゾン・ヤフー・メルカリ・楽天の4社が「オンラインマーケットプレイス協議会」を新たに設立。これはユーザーにとって安全な電子商取引環境を構築することを目指しており、具体的には出品ガイドラインを取り決めたり、違法・悪質出品・不正レビューへの対策を強化するといったことが協議されます。

わが国の政府の取り組みでは、2020~24年度の消費者政策の柱となる「消費者基本計画」で垣間見ることができます。この計画内において、電子商取引トラブル対応のため、法施行体制の強化や制度見直しが推進されることとなりました。

その他、大手保険会社がヤフオク等で出品されている製品の修理保険を付帯させると言った、ユニークな取り組みも始まっています。

ただし、SNS上での取引に関してはこの限りではないことを覚えておきましょう。

 

まだまだ電子商取引は「自己責任」の面が大きいです。しかしながら市場規模拡大に併せて制度が整い、いずれ本当にネットオークションやフリマアプリで掘り出し物を探せる時代が来ることを期待しましょう!

 

 

まとめ

ヤフオク等のネットオークションやSNS,フリマアプリでの高級時計・ブランド品購入について解説いたしました。

なお、繰り返しになりますが、該当設問における「購入経験」のパイはそこまで大きくはありません。しかしながら半数近くがトラブル経験を持つことを鑑みれば、購入時のリスクは決して低いものでないことがおわかり頂けるでしょう。

今後もますます電子商取引が拡充していく中で、無用なトラブルに遭わないためにも。その実態を私たちは知っておく必要があるでしょう。

文:鶴岡

 

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この記事を監修してくれた時計博士

田中 拓郎(たなか たくろう)

  • (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
  • 高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長

当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB・システム系全般を担当している。
時計のマーケットに非常に精通しており、買取相場や買取お役立ち情報はもちろん、リユース業界の報道や最新ニュースなど、幅広い分野で監修に携わっている。
また、スイスで行われる腕時計見本市の取材も担当してきた。得意なブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年。

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