販売店も抱える腕時計の買取店では、多岐にわたるブランド・モデルで積極的な高額買取を行っています。なぜなら小売り販売ルートを既に確保しているため。BtoCで小売り販売ができるということは卸し販売や海外市場への販売に比べて再販価格が高くなり、結果として買取時にも、高額査定を提示しやすいことを意味しているのです。
さらに言うと「販売部門で人気または品薄の商品」に的を絞り、常時積極買取を行う手法も一般的です。もともと高級時計は大量生産はしづらい商材です。にもかかわらず近年の市場拡大,あるいはインバウンド及び越境ECの増加により、需要はかつてより激増しています。そのため人気ブランドの人気モデルは常時品薄。市場やオークションで入手できないため、一般消費者からの買取に各社が力を入れることとなりました。現在、高級時計においては過去類を見ない「売り手市場」が続いていると言っていいでしょう。
この売り手市場の立役者、ロレックスだけだと思っていませんか?確かにロレックス人気は凄まじく、また品薄が叫ばれて久しいです。しかしながら買取店では、「喉から手が出るほど」欲しいブランド時計がまだまだあります!
この記事では、東京 銀座の高級時計専門店GINZA RASINにおいて、高額買取必至のモデルを15本ご紹介いたします。
このリストはただ「人気がある」だけではなく、2020年12月時点で「再入荷待ちのお客様」が10人以上を超えるモデルをピックアップしております。ロレックスのように回転の良いモデルであれば売れてしまってもすぐ入荷する可能性が高いですが、再入荷リクエストを抱えるモデルは市場での数が少なく、また個人買取でもなかなか持ち込まれないことを意味しています。
もしこのリストにあるモデルを所有していたら、思わぬ高額査定が付けられる可能性がきわめて高いと言えます。また、今回は生産終了モデルを中心にご紹介いたしますので、もし中古市場で見つけたら、今後の値上がりに期待して即買いか!?
現在時計の売却をお考えの方も、リセールバリューを視野に入れて時計のご購入をお考えの方も、ぜひご一読下さい!
目次
なぜ再入荷待ちが多い腕時計は高額買取になるの?
時計にかかわらず通販サイトの中には売り切れ商品に対して、再入荷待ちのリクエストを店舗側に送れる仕様を抱えたところがあります。
この再入荷待ちとはその名の通り、「現在は売り切れてしまっているが、再入荷が叶ったら連絡をする」機能です。SOLD OUTになってしまったモデルの販売ページからメールアドレスをご登録頂くと、再入荷したり、あるいはホームページに出品されたりした時にメールが自動送信される仕様です。
ロレックスの現行デイトナやサブマリーナ等、人気はあるものの定番品であれば、あまり再入荷待ちのお客様が重なることはありません。なぜなら冒頭でも述べたように回転が良く、売り切れてもすぐに入荷する可能性がきわめて高いためです。
しかしながら限定品であったり、生産終了品であったりして市場でも稀少性が高いモデルに関しては、どんどん再入荷待ちのお客様が増えてしまうこととなります。なかなか入荷せず、しかしながらあいも変わらず高い需要が顕在であるためです。
そんな再入荷をお待ち頂いているお客様が10人以上となるモデルを、次項でご紹介いたします。
高額買取必至の腕時計①オメガ シーマスター
ロレックスと並んで絶大な人気を誇るオメガ。やはりロレックスと並んで、多くの店舗で在庫確保が至上命題であるため、買取に力を入れているブランドです。
月面着陸という華やかな経歴を持つスピードマスター。コーアクシャル×マスタークロノメータームーブメント搭載機の中心的存在で、実用面・スペック面・デザイン面で「最強ダイバーズウォッチ」と称賛されるシーマスター。オメガの高精度の歴史をシンボライズするコンステレーション等、人気のロングセラーシリーズを多く抱えるがゆえ、ユーザーにとっては再販しやすいブランドとも言えますね。
一方でオメガは、ロレックスのように「買取店で争奪戦が起きる」ような品薄モデルは一部でした。一つのリファレンスの歴史が長く、製造本数も安定していることがその背景にあります。しかしながら近年、その様相は一変します。
と言うのも、マスタークロノメーター×コーアクシャルを搭載したムーブメントへの移行が始まり、既存モデルからリファレンスチェンジが顕著になってきたためです。
※マスタ―クロノメーター…オメガがスイス連邦計量・認定局(METAS)と共同で制定した時計の品質規格。高精度のみならず、15,000ガウスもの高耐磁性能が基準となっていることが大きな特徴。
※コーアクシャル…オメガが1999年から採用し始めた新しい脱進機。2007年以降、自社開発ムーブメントで順次採用を進めている。大きな特徴としてはパーツ同士の摩耗が少なく、従来ムーブメントのオーバーホール期間を大幅延長する、というもの。
リファレンスチェンジによって既存モデルからデザインがかなり変わったモデルもあり、過去モデルへの注目度が急騰したこと。また、巧みに人気ジャンル(映画『007』が有名ですね)とタイアップして魅惑的な限定モデルを打ち出し、時計ファン以外からも注目度を高めていること。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/planet-omega/cinema/james-bond
さらには2020年の新型コロナウイルスの影響で国際間の人・モノの交流が制限されたことから、海外仕入れが激減したこと。
こういった要因により、オメガは市場で品薄の様相を呈し始めたのです。
市場で品薄ということは、個人買取に多くの業者が力を入れるということを意味します。そのため、今やオメガはどの時計店でも「在庫確保」に躍起となるブランドとなりました。
つまりオメガは定番品であれば、比較的どのモデルも高額買取が見込まれます。
しかしながらそんな中でも、さらに「品薄」であり、業者が喉から手が出るほど欲しい逸品とは?3本ご紹介いたします。
①オメガ シーマスター300 “スペクター”限定モデル 233.32.41.21.01.001
今、最もオメガの中で高額買取対象と言えばコレ!2015年公開『007 スペクター』のためのスペシャルエディションとして誕生しています。ちなみに当店の販売サイトで再入荷待ちにご登録頂いているお客様は、なんと58名にのぼります。
映画『007』と言えば、みんな大好きジェームズ・ボンド。英国スパイが繰り広げる大立ち回りには、長年世界中の老若男女が虜にされてきました。
007は、作中に出てくるスーツや靴,車などもしばしば話題に上ります。ジェームズ・ボンドの紳士的なふるまいによく似合う一流の「添え物」たちが、映画のエッセンスとしての効果があるゆえでしょう。
そんな背景もあってか、オメガは1995年公開の『ゴールデンアイ』以降、しばしば時計を提供し、劇中で登場させることとなります。スポンサードという意味合いがあったのでしょう。
しかしながらこの試みは大ヒット。オメガのかっこよくもエレガントな製品がジェームズ・ボンドの腕元によく映えており、オメガファンのみならず、映画ファンをも巻き込んで、オメガ人気は上昇することとなりました。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
オメガは時計を提供するのみならず、映画の公開と足並みを揃えてスペシャルエディションの販売を行います。
その一つが、こちらのスペクターモデル。
基本的に作中に登場する時計はオメガのレギュラーモデルであり、007モデルはあくまで販売用途でしたが、こちらのRef.233.32.41.21.01.001は作中でも実際にジェームズ・ボンドが使用したことから、大きな話題となりました。
話題性と人気の秘訣は007としてのスペシャル感もさることながら、シーマスター300が有するヴィンテージテイストでしょう。
シーマスター300は、1957年生まれの初代シーマスターを復刻したモデルとなります。レギュラーのRef.233.30.41.21.01.001の人気も大変高く、買取価格も総じて高額。そんなシーマスター300の「007版」ということもあり、かっこよさに加えてストラップホルダーには”007″の刻印が見られる「ジェームズ・ボンド NATO ストラップ」を仕様とするなど、特別感が満載です(ちなみにステンレスブレスレットがメーカー付属品として付いてきました)。
一方で7,007本の限定生産であったことから、販売後即完売。にもかかわらず依然として人気が顕在で、今なおその実勢相場は100万円を超えるほどです(状態にもよりますが)。このプレミア価格は、オメガでは非常に珍しい現象となります。
当店でも「非常に欲しい」モデルであるゆえ高額買取をご案内しております。もし所有されていれば、ぜひ一度査定にだけでもお持ちこみ下さい!
②オメガ シーマスター アクアテラ 231.10.39.60.06.001
こちらは、シーマスター アクアテラの一世代前のモデルです。2013年~2017年まで製造されました。ちなみに現在、再入荷待ち頂いているお客様は20名です。
※今回取り上げるのはグレー文字盤となりますが、同時代のアクアテラはブラック,ブルーといった定番カラーも、生産終了から3年以上が経つ今なお高い人気を博します。
前述の通り、オメガは近年、コーアクシャル×マスタークロノメーターの自社製ムーブメントへの移行を順次進めています。
その代表格が、シーマスターです。
シーマスターはダイバー300M,アクアテラ,プラネットオーシャン等、いくつかのコレクションに分かれるオメガの定番シリーズですが、自動巻きモデルであること。加えて「ダイバーズウォッチ」というハイスペックが前提となるモデルであることから、新世代ムーブメント搭載の中心的存在となったのでしょう。
そんなシーマスターの中でも「アクアテラ」と呼ばれるモデルは、ダイバーズウォッチシリーズでありながらもエレガントで上品なコレクション。ゴリゴリのダイバーズと言うよりは、ビジネスマンのタウンユースを想定したものとなり、30代男性を中心に高い人気を博してきました。
アクアテラのその人気ぶりたるや、長年オメガのナンバーワンとして輝いてきたほどです。
当店でも御多分に漏れず。現在はスピードマスターや前述したシーマスター300にトップは譲るものの、例年よく売れるモデル10位以内の常連となっています。
このアクアテラ、2017年にコーアクシャル×マスタークロノメータームーブメントが搭載されたことで、リファレンスチェンジを果たしました。
当然、新型の方がハイスペックとなります。しかしながら依然として旧型の人気は根強く。なぜならデザインに若干の違いがあるためです。
例えば文字盤に「チークコンセプト」と呼ばれる装飾が施されているのですが、新型は横じまであることに対し旧型は縦じまです。
また、旧型はデイト窓が3時位置にあることも特徴です。
さらに、この再入荷待ちの多いRef.231.10.39.60.06.001は現行とはまた違ったシックなグレーの色味が特徴となっており、他のカラーと比べてとりわけお問合せが多くなっております。
裏蓋は現行のシースルーバックと異なりソリッドバックで、より質実剛健なイメージが増しますね。
このシーマスター アクアテラ Ref.231.10.39.60.06.001は、先ほどの007エディションと比べると「超プレミア価格」というわけではありません。なぜなら現行品よりも定価が安く、当時で30万円を切るほどでした。
しかしながら止まない需要からジワジワと買取相場が上がっております。現役当時は並行輸入店で新品が20万円以下で販売されていた時代。その頃に購入された方が買取店に持ち込んだら、思わぬ査定額に驚かされるかもしれません。
③シーマスター プラネットオーシャン 232.30.42.21.01.001
シーマスターの上位モデル・プラネットオーシャン。「惑星の海」という名前を持つ壮大な当モデルは、2005年に誕生しました。
600m防水,太くダイナミックな逆回転防止ベゼルに夜光が塗布されたインデックス・針,そしてヘリウムエスケープバルブを備えたプロユースのダイバーズウォッチで、アクアテラやシーマスター300とはまた違った様相を呈しますね。
プラネットオーシャンもまた、コーアクシャル×マスタークロノメータームーブメント化が進行し、2016年にリファレンスチェンジを果たしました。
今回ご紹介するRef.232.30.42.21.01.001は、それ以前に製造されていた旧型モデル。2011年~2016年まで製造されました。こちらの再入荷待ちのお客様は15名です。
旧型の最大の特徴は、ケースサイズが42mmであること。
現行は39.5mm、43.5mm、クロノグラフの45.5mmサイズがラインナップされており、実は42mmサイズは廃盤となっています。このサイズ感に対して根強いニーズがあり、今なお15名もの再入荷待ちを抱える実力へと繋がっているのでしょう。
なお、旧型プラネットオーシャンは現役当時は大きな値上がりはしていませんでした。上位モデルであることから定価は高くなりますが、それでも40万円前後~40万円台半ばが大体の相場感。
そして現在、当店のキャンペーンで、プラネットオーシャン 232.30.42.21.01.001の中古買取価格として290,000円をご提示させて頂いております(2020年12月現在)。
もちろん付属品の有無やコンディションにも左右されますが、購入価格から換算すると6~7割ほどの買取率(換金率)であることを示唆しています。そして今回は「再入荷待ち」という条件で抽出していますが、プラネットオーシャンの旧型はどのモデルも人気が高く、同様の買取価格を提示しております。
もし使っていないプラネットオーシャンがある。あるいはお買い換えをご検討されている。
そんな方は、所有されているプラネットオーシャンの、大きな売り時を迎えていると言えるでしょう。
高額買取必至の腕時計②タグホイヤー
タグホイヤーもまた、非常に人気の高い高級時計ブランドです。
モータースポーツにインスパイアされたレーシーでとにかくかっこいいデザイン,それでいてビジネススーツにもマッチする洗練された品格,デイリーユースで活躍するハイスペックが魅力で、国内外問わず多くの時計ファンから愛され続けてきました。
一方でオメガ同様、タグホイヤーもまた「品薄」「プレミア価格」のイメージは強くありません。
なぜならタグホイヤーの魅力の一つに、「優れたコストパフォーマンス」が挙げられるため。10万円台~40万円の価格帯のラインナップを充実させており、初めて高級時計を購入する方がまず候補に挙げやすいブランドと言えます。
もっとも、タグホイヤーが「安物」かと言うと、そうではありません。生産ラインやコストを徹底的に見直すことで、高級時計では「タブー」にもなりがちなオートメーション化および大量生産を実現。高級時計として上質な製品を、上記の価格帯で提供することに成功しているのです。
実際、タグホイヤーは「販売価格の数倍の価値を与える」「手の届くラグジュアリー」というコンセプトを掲げており、そのままタグホイヤーの持ち味になっていると言っていいでしょう。
しかしながらタグホイヤーの人気ぶりは、年々拡大しています。加えてタグホイヤーの品質の高さは経年に強く、中古市場もますます大きくなるばかり。
こういった背景からタグホイヤーの再販価値は上がっており、例えば価格的に見ればロレックスや現行オメガに及ばなくとも、換金率・買取率でみると安定的な数値を誇っていると言えるのです。
さらに、人気ブランドの宿命ゆえか、やはり「再入荷待ちを多く抱えるレアモデル」が存在します。計3本、ご紹介していきます。
①フォーミュラ1 アイルトン・セナ エディション CAZ1013.BA0883
「音速の貴公子」「史上最速・最高のF1ドライバー」などと呼ばれた、F1界のレジェンド「アイルトン・セナ氏」。1980年代後半~90年代前半にかけ数々のF1レースを制し、ワールドチャンピオンを3度獲得した、まさに伝説的なレーシングドライバーです。
1994年5月第3戦サンマリノGPでの痛ましい衝突事故により34歳という若さで夭折しますが、今なお彼は各国で敬意を以て語られます。それは何もモータースポーツの世界でだけではありません。
タグホイヤーは、1991年にアイルトン・セナ氏を広告塔に据えました。「#dontcrackunderpressure(プレッシャーに負けるな)」という同社のキャッチコピーは、まさにアイルトン・セナ氏の生き方そのものであったためでしょう。
もっとも、タグホイヤーはセナが長年所属していた、マクラーレンチームのスポンサーであったことも大きく関係しています。
そんなセナ氏との深い関わりは他界後も続いていきますが、2015年、さらに強固なものであったことを再認識させられる出来事があります。タグホイヤーは、氏を再びブランドアンバサダーに起用し、併せて氏へのオマージュモデルを世に送り出したためです。
※セナ氏の他界の同年、続く2000年代にもセナモデルはリリースされていますが、10年ほどは途絶えていました。
この2015年にリリースされたセナモデルのうちの一つが、こちらのフォーミュラ1 アイルトン・セナ エディション CAZ1013.BA0883です。そして現在、当モデルの再入荷をお待ち頂いているお客様は、11名です。
フォーミュラ1にセナを投影されたのも象徴的と言えます。
なぜならフォーミュラ1とは、もともとマクラーレンチームから着想を得たシリーズであるため。F1カーのように堅牢で高性能。それでいて男心をくすぐるとにかく洗練されたかっこよさが特徴的な一大コレクションですが、セナモデルではその随所にセナのアイデンティティを盛り込みます。
例えば2時位置のインダイアルにあしらわれたセナのイニシャル「S」。これは裏蓋にもエングレービングされており、さらにブレスレットのコマもS字が象られています。
フォーミュラ1ならではの200m防水、そして扱いやすいクォーツムーブメントが搭載されていることで、セナ世代ではない20代の方からも厚い支持を集めています。
なお、タグホイヤーのアイルトン・セナモデルはいずれも限定生産であったことから稀少性が高く、高額買取されやすいモデルです。
また、タグホイヤー以外にも、アイルトン・セナ氏に敬意を表し、オマージュブランドをリリースしてきた高級ブランドがあります。それは、ウブロです。
同じLVMHグループであるため、といった背景もありますが、ウブロのセナモデルもまた入荷のお問合せを多く頂いており、高額買取査定の対象です。
②モナコ キャリバー12 スティーブマックイーン CAW2111.FC6183
前述の通り、タグホイヤーはロレックス等と比べると「品薄モデル」はそこまで多くはありません。現行に近いお品であればなおさらです。
しかしながらこちらのモナコ キャリバー12 スティーブマックイーンモデルとなると、話が大きく違ってきます。
こちらは生産終了はしているものの限定品ではなく、2009年から販売され続けていたレギュラー勢です。モナコ誕生40周年にリリースされました。
にもかかわらず現在再入荷待ちのお客様は11名!新品・中古ともに品薄で、なかなか仕入れづらい状況が続く、時計店泣かせの一本と言えるでしょう。
なぜ、発売から10年以上経過している当モデルの流通量が枯渇しているのでしょうか。当然、決して製造数が少ないわけではありません。
この理由は、2019年、モナコが生誕50周年を迎えたことが大きく影響していると予測されます。
モナコは1969年に誕生しました。
当時「世界初のスクエア型(角型)防水時計」「自動巻きクロノグラフ搭載機の黎明」であったことで昨今は高い評価を得ていますが、1970年前後はクォーツショックもあり、今ほど定番にはなりませんでした。しかしながら1971年、カーレース映画『栄光のル・マン』が公開され、ハリウッドスターであったスティーブ・マックイーン氏がモナコを着用したことで人気が飛躍的に高まることとなります。
また、近年では角型ケースが珍しくなくなってきたことも相まって、タグホイヤーの中でも「通好み」として愛され続けるモデルに成長していきました。
そして50周年の節目を迎えた2019年、タグホイヤーは大々的にプロモーションを行うことで、改めてモナコの魅力を世間一般に伝えることとなります。同時にいくつかのスペシャルエディションをリリースしましたが、その話題性に引っ張られる形で基幹モデルのRef.CAW2111.FC6183への買いが集中したと思われます。
この高い需要を維持しつつも、2020年の新型コロナウイルスの影響でメーカー供給量や海外仕入れが不足したことで、流通量が減り、結果として買取店同士で争奪戦が起きている状態です。
事実、実勢相場もかつては30万円台でしたが、現在では新品40万円台半ば程度。中古でも40万円となることは珍しくありません。
当店での中古買取価格は260,000円。今ですら6割超えの買取率を誇っており、もし数年前に並行店等で安く入手できていた方は、かなりお得に売却することができるでしょう。
なお、この現象は他のモナコのモデルにも言えることです。現在モナコはカレラやアクアレーサーと比較しても、非常に売り時を謳歌している一大コレクションとなっております。
③モンツァ キャリバー36 CR5110.FC6175
今はなきモンツァをご存知でしょうか。
イタリア北部に存在する、同名のサーキットコースに由来したモデルで、レトロなクロノグラフ顔が何よりの特徴です。
モンツァ自体は1976年という、まだホイヤー社と名乗っていた頃に登場していた一モデルでしたが、シリーズとして連綿と続いています。
今回再入荷待ちを10名抱えるこちらのモデルは、2000年初期に一世を風靡したモンツァの一つです。
最大の特徴は、ゼニス社のエルプリメロを搭載していること!
エルプリメロはご存知、ゼニスが誇るハイビートムーブメントです。時計の精度を司るテンプの振動数が36,000ビート/時という高振動によって、きわめて高い精度を叩き出すクロノグラフの傑作機。
1990年頃~2000年前後まで、ロレックスのデイトナやパネライのルミノールクロノグラフ等、多くの人気ブランドでエルプリメロベースのムーブメントを搭載したモデルが輩出されました。
エルプリメロ搭載のデイトナ 16520等は、生産終了から20年以上経つ今なお人気の高い一本であり、現行と肉薄する相場高騰を築いています。
モンツァもまた、そんなエルプリメロを搭載した名機。
シースルーバックからは美しきエルプリメロを鑑賞できること。また、当然高精度&高性能が担保されており、中古市場で根強い人気を堅持し続けた結果、現在の品薄に繋がりました。
今回ご紹介している他のコレクションにも言えることですが、モンツァもまた全モデルで高値買取の傾向が続いています。
今後、生産終了からさらに日が経つにつれて状態の良い個体は減っていき、争奪戦は加速していくことが容易に予測できます。
高額買取必至の腕時計③パネライ
パネライ好きを指して「パネリスティ」という用語が出るほど、熱狂的ファンを抱えるパネライ。
軍用時計メーカーに出自を持つことから視認性が高く、かつ質実剛健なデザインを基調とした「ルミノール」「ラジオミール」がシリーズの二大柱となっています。
「デカ厚」時計としても名を馳せていますが、近年では薄型自動巻きムーブメントの開発に意欲的で、「ルミノール ドゥエ」など薄く上品なモデル展開をスタートさせました。
パネライはPAM01312やPAM01351など、定番モデルが定着しています。ムーブメントがアップデートされることはあっても新作と後継機で大きく顔立ちを変えるわけではないため、ロレックスのように生産終了モデルに人気が集まる、といったことはそう多くはありません。
むしろリリースの巧みさからか新作や現行モデルへの注目度が高い傾向にあると言っていいでしょう。
しかしながら人気ゆえ、そして品質の高さゆえに、新旧問わず高額買取の常連的存在です。パネライは高価格帯に位置付けられますが、新品と中古の価格差が大きいため、「中古で買いたい」と言ったニーズが根強く、比較的新しいモデルでも、生産終了モデルでも、売りやすいブランドであるためです。
当店での中古販売価格と買取価格から算出したパネライの換金率は平均して6割強となっており、これは、他のブランドと比べてもきわめて高い数値です。
すなわち、これは「比較的どのモデルも高く売れる」ことを示唆しているのですが、そんな中においても稀少性が高く、品薄ぎみで「どうしても欲しい!」と業者が唸るモデルとは?こちらも計3本、ご紹介いたします!
①ルミノール クロノグラフ レガッタ2003 PAM00168
前述の通り、パネライは定番人気が結構決まっていて、モデルチェンジがあった後も後継機へそのまま安定した人気が引き継がれる、といったケースが多くなります。
しかしながら過去のレアモデルに目を向けてみると、その稀少性ゆえ、そしてその魅力的すぎるコンセプトゆえに、実は高値をつけ続けている個体が結構あります。
ルミノール クロノグラフ レガッタ2003は、まさにそんなモデルです。
このモデルは2003年にパネライからリリースされました。
「レガッタ」とは、イタリア語でボートレースを意味します。パネライはモンテカルロで行われるレガッタのスポンサーを務めていたため、「レガッタシリーズ」を販売していた歴史があります。
※レガッタ専用クロノグラフがロレックスのヨットマスターIIからリリースされていますが、こちらのモデルは通常クロノグラフとなります。
ボートレースを想起させるブルー文字盤にシルバーインダイアルがパンダ仕様となっており、そのイケメンぶりは人気が出ないはずがありません。
40mmという大きすぎないサイズ感や、ケース・ブレスレットの一部にチタンを用いているため軽量に身に着けられる実用性も、嬉しいところですね。
なお、生産数399本という超稀少モデルとなります。
そのため個人買取りが主な仕入れルートとなりますが、その稀少性ゆえなかなか手に入らず…にもかかわらず当モデルは12名のお客様に再入荷のリクエストを頂いている超人気モデルで、パネライの再販価値の強さに改めて気づかされる思いです。
②ルミノール ドゥエ 3デイズ オートマティック アッチャイオ PAM00903
先ほど少し言及しましたが、パネライは近年「小径薄型ケース」にも力を入れ始めました。
その代表作がルミノール ドゥエです。
ルミノール ドゥエは、パネライが2016年にリリースした、薄型ルミノールです。
これまでデカ厚の代名詞的存在であった同社がついに…!と、大きな話題となったものです。
この話題性に悖ることなく、ルミノール ドゥエは傑出した薄型時計でした。
まず、ルミノールらしいリューズガードやクッションシェイプのケース,美しく歪みのない鏡面仕上げはそのまま継承。しかしながらケース厚をわずか10.5mmに仕上げており、従来のパネライはおろか、他のスポーツウォッチと比べても非常にスリムな印象を与えることとなりました。
このルミノール ドゥエ、発売当初は45mmおよび42mmの2サイズ展開だったのですが、2018年に新たに38mmサイズがバリエーションに追加されたことで、さらに人気が急上昇します。
時代が「小径薄型ケース」「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」への要請を高めていたことが背景にあったのでしょう。
※ラグジュアリー・スポーツウォッチ…決まった定義はありませんが、ラグジュアリーメーカーが販売するスポーツウォッチが、転じて高級感溢れるスポーツウォッチといった意味合いになった用語です。主に薄型であることが大きな特徴となります。
発売当初からその人気の勢いは凄まじく、当店でも入荷してもすぐに完売してしまうほどであったものです。
その勢いは、発売から2年経過する今なお衰えず。今回のSS製のPAM00903は現在再入荷待ちのお客様を10名抱えておりますが、同シリーズのPAM01043,PAM00755等も回転が非常に良く、当店では在庫確保に頑張っている状況です。
今後も薄型時計へのニーズは健在であることが予測されており、ルミノール ドゥエもまた大きな売り時を迎えていると言っていいでしょう。
③ルミノール1950 8デイズ GMT PAM00233
2006年に誕生し、14年の長きに渡ってルミノールGMTの顔を張ってきたPAM00233。2020年、惜しまれつつもカタログから姿を消し、生産終了となりました。
生産終了の報の後、にわかにお問合せが殺到。もともと製造本数が少ないわけではありませんでしたが、需要の高さゆえに、すぐに市場から枯渇していくこととなりました。
まだ生産終了から一年も経っていないにもかかわらず、現在再入荷待ちのお客様は10名となっております。
このPAM00233の最大の特徴はGMTを搭載していることなのですが、その誕生の歴史もまたパネリスティの心を打ちます。
と言うのも、搭載する手巻きCal.P2002系は、パネライ初の完全自社開発ムーブメントかつパワーリザーブ約8日間を実現した、屈指の名機であるためです。
このCal.P2002系が市販化されたのは、2005年です。
8日間という超ロングパワーリザーブ,GMT,そしてパネライらしい堅牢性を有しており、2000年代から現在に至るパネライ人気を根底から支えることとなりました。
面白いのが、パワーリザーブインジケーターの仕組み。一般的なパワーリザーブインジケーターはレトログラード式になっていることが多いですが、パネライは6時一の横軸メモリで残日数を表すこととなりました。
当モデルは手巻きであるため、一目で残数がわかる仕組みは大変実用性が高いと言えますね。
また、9時一に昼夜表示を組み込むことで、「太陽光が届かない過酷な状況下においても、時計本来の価値を発揮する」という、軍用時計が出自のパネライらしいアイデンティティを備えることとなりました。
GMTは、ロレックスやオメガ,タグホイヤーが牽引し続ける人気機構です。パネライでもそれは変わらず。そのため今後も高い需要が間違いなく見込まれる製品と言えるでしょう。
高額買取必至の腕時計④グランドセイコー
わが国が誇るグランドセイコー。もともと時計好きから手堅い人気を誇るブランドではありましたが、近年の飛ぶ鳥落とす勢いは、留まるところを知りません。
と言うのも、グランドセイコーは2017年に母体のセイコーから独立し、独自路線を突き進むことになったことで、新たなるファン層を開拓したのです。
この独自路線は、「海外進出」と「高級化路線」です。とりわけ後者の高級化路線においては日本国内でも注目度を高めるきっかけとなりました。
どういうことか?これは、しばしば日本メーカーの欠点として指摘されていた「ラグジュアリー要素」を、全面に打ち出した、ということです。
確かにセイコーは長年、時計本来の価値―高精度や高性能―を訴求し続けてきました。結果として、セイコー時計=正確性という、スイス時計メーカーにはなかなかないイメージを定着させます。
一方で質実剛健すぎて、「時計好き」「ある程度の年齢の男性」からの支持に留まっていたことも事実です。
しかしながら2017年以降、これまで手薄だった高価格帯製品に力を入れます。これは従来訴求してきた内部ムーブメントのみならず、デザイン面でも洗練された「ラグジュアリー」を付加しており、高級時計市場の拡大に合わせて、グランドセイコー=ラグジュアリーという新たなる価値観を獲得するに至ったのです。
限定モデルや復刻モデルを続々打ち出し、これまで不足しがちであった「特別感」をアピールしたことも、この成功に大きく寄与したと言えるでしょう。
結果としてグランドセイコー人気は、飛躍的に高まりました。
さらに時計市場の拡大とともに、時計の性能やムーブメントへ大きな価値を置くユーザーが増えたことも、この勢いを後押しします。グランドセイコーはムーブメントの正確性にこだわるあまり、完全マニュファクチュールで時計製造を行う稀有な存在であり、その点が再評価されて新旧モデルへの買いが集中したためです。
「買いが集中」とは言え、ほとんどのモデルで安定した供給量を持っていることも事実。そのため買取率としては、6割弱程度です(もちろん、他社と比べて高い数値と言えますが)。
しかしながら水面下では、「品薄」「プレミア」進行中のモデルが、増えつつあったのです。
「再入荷待ち」のお客様を20人近く抱える、「欲しい、けどなかなかない」グランドセイコーモデルを3本ご紹介いたします。
① 初代グランドセイコー リミテッドコレクション SBGW253
グランドセイコーが誕生したのは1960年です。
当時スイス時計ブランドに完全に後塵を拝していたセイコーは、「世界に通用する国産最高級時計の製造」を志し、ハイエンドにあたるグランドセイコーを生み出しました。
そうして生み出されたグランドセイコー ファーストモデルは、まさに「最高峰」。当時、教員の初任給が約13,000円であった時代に、25,000円という値付けが行われ、そしてその価格にふさわしい出来栄えをしていたことは、今なお国産高級時計史においては語り草になっています。
このファーストモデルを、グランドセイコーは過去に何度かリバイバルしてきました。
こちらのRef.SBGW253は、2017年、グランドセイコー元年にリリースされた限定モデルです。なお、再入荷待ちのお客様は、16名に上ります。
上品で古き良きアンティークを思わせるようなデザインは、丸みをもったサファイアクリスタル風防と文字盤により形成されます。
リューズのSマークや独特なデザインの尾錠、裏蓋のライオンマークもしっかり復元。針やインデックスの造形も、最高峰のエッセンスたりうる仕上がりが復刻されました。
ちなみにこちらのステンレスティールモデルが1960本生産されたほか、18Kイエローゴールドモデルが353本、プラチナモデルが136本限定で同時にラインナップされていますが、後者の二機種は今では「幻」の存在と言っていいでしょう。
もっとも、2020年、グランドセイコーは初代復刻シリーズをレギュラー入りさせます。そのため今後、人気が分散する可能性も。
2017年版ファーストリミテッドモデルをお持ちの方でご売却をお考えの方は、ぜひ早めに買取店にお持ち込み下さいませ!
②メカニカル 50周年記念モデル SBGR065
前述したファーストモデルのリバイバルを超えてさらに稀少性を誇るのが、こちらのRef.SBGR065です。2010年、グランドセイコー生誕50周年の節目に発売されました。
その限定数は、わずか500本!
流通量は限りなく少なく、しかしながら需要は止まずに再入荷待ちのお客様は15名。
この10年間でグランドセイコーからは魅力的なモデルの数々がリリースされましたが(とりわけここ三年のコレクションの厚さを評価する業界人は多いものです)、今なおこれだけの待ち人を抱えるとは、驚きを禁じえません。
もっとも、この顔立ちを見ると人気の理由が見えてくるのではないでしょうか。
文字盤3時位置に、通常は裏蓋側に隠されるグランドセイコーのシンボル「獅子」と50th aniversaryの文字が印字されています。
文字盤の仕上げも独特で、まるで和紙を思わせる端正さですね。
ちなみに同時リリースされたSBGR075もまた、非常にお問合せの多い限定モデルです。ちなみに再入荷待ちのお客様は9名です。
こちらは300本限定と希少性がさらに高く、個人買取以外の仕入れが難しいことから、多くの時計店が積極的に欲しいグランドセイコーモデルと言えるでしょう。
③ヒストリカルコレクション 62GS復刻デザイン SBGR095
グランドセイコーは2020年で60周年を迎えます。
そして前述の通り、ファーストを始めとした過去モデルの傑出した作品の、リバイバルが定期的に同ブランドから行われてきました。
こちらは2015年、グランドセイコー55周年としてリリースされた一本です。
1967年のグランドセイコー「62GS」をリバイバルすることとなりました。
62GSがどういったモデルかを簡単に解説すると、グランドセイコー初の自動巻きムーブメント搭載機として誕生したものです。「62」は、搭載するCal.6246に由来しています。
ちなみに62GSが市場に送り出される前年、62マティック クロノメーターというモデルがセイコーからリリースされていました。
同様にCal.6246が搭載されていたのですが、文字盤にクロノメーター表記があったことからスイス本国のクロノメーター協会から待ったをかけられ、リリースからほどなくして生産をいったん打ち止めにされてしまいます。
※当時のグランドセイコーはクロノメーター規格に匹敵する高精度を誇っていますが、正式認定を得ていたわけではなかったため、クレームが入ったという背景を持ちます。なお、その後にクロノメーター規格を超えるグランドセイコー規格を同社は制定しています。
そうして62マティックの代替機―いえ、グランドセイコーとしてさらに風格を備えることとなった62GSは誕生するに至ったわけです。
そんな62GSをリバイバルした当モデルは、6時位置のロゴに「DIASHOCK」(高級品のためムーブメントに19石使っており、衝撃に強い、といった意味)、4時位置に配置されたリューズ、裏蓋のワッペンの意匠といったオリジナルを踏襲したデザインが特徴です。
もちろんテクノロジーは最先端にリファインされており、スタンダードなメカニカルCal.9S65を搭載、防水性も10気圧と実用面が考慮されました。
世界限定600本という稀少性から、再入荷待ちのお客様が10名いらっしゃるものの、なかなか入荷しづらい状況が続きます。
時計としても見事な逸品ですので、もし再販価値を気にして中古時計を買いたい方は、ねらい目な一本とも言えます。
高額買取必至の腕時計⑤IWC
最後にご紹介するのはIWCです!
ポルトギーゼ,ポートフィノ,パイロットウォッチといった名作の数々を抱える同社はスイスブランドですが、ジュネーブではなくドイツにほど近いシャフハウゼンで育ちました。
スイスらしい洗練されたデザイン性とドイツらしい質実剛健なものづくりの姿勢が融合した作品群の数々は見事と言う他なく、人気ブランドのまさに「定石」として君臨しています。
質が高いこと。また、ムーブメントには長らく汎用機を用いてきたことからメンテナンス性にも優れており、それゆえ中古市場での売買は活発です。
中古市場でよく売れるということはそのまま再販価値の高さにも繋がっており、本稿でご紹介している他ブランド同様、IWCは多くの時計専門店が在庫確保のために、個人買取に力を入れていると言っていいでしょう。
とは言えIWCは回転率が非常に高く、人気どころのポルトギーゼやパイロットウォッチ,ポートフィノは比較的よく売れ、よく入荷します。
しかしながらIWCは、過去の名作が多いブランドでもあります(人気ブランドはその傾向が強いですが)。
とりわけ歴代モデルで根強い支持と、そして壮大なストーリーを獲得してきた生産終了モデルの稀少性は別格。
中でも当店で再入荷リクエストを数多く頂いている計3本を、ご紹介いたします。
①マーク15 マークXV IW325302(3253-02)
IWCの代名詞的存在でもあるパイロットウォッチ。
高い視認性,軟鉄製インナーケースを用いることで堅牢となった外装,そしてとにかくかっこいいデザインは、世界中の男性陣の心を掴んできたものです。
パイロットウォッチにはいくつかの系譜がありますが、マークシリーズは英国軍向けに供給していたパイロットウォッチがその出自です。
他のモデルとの差別化を図るため、文字盤に三角形のマークを用いたことがマークシリーズの始まりだといわれています。
今ではこのマークは、英国軍が所持する軍用時計のシンボルとなっており、英国軍の誇りを示す重要な意味合いを持つに至りました。
そんなマークシリーズは、1993年より民間市場に向けてリリースされます。
最初は「マーク12」シリーズから。イギリス軍で使われたのがマーク11だったことから、12より始まることとなりました。
マーク15は、1999年に発売されます。
マーク15は12と比べてアップサイジングし、ケース直径が38mmに。より現代的に洗練された意匠となりました。
また、ムーブメントもメンテナンス製に優れるETAベースのCal.37524を搭載しており、より実用性が増しています。
そんなマーク15の中でも定番中の定番がこちらのRef.IW325302。
ブラック文字盤というオンオフ問わず身に着けられるベースカラー,そして現行にはないヴィンテージ感あふれるブレスレットが根強い人気を誇っており、現在再入荷をお待ちになっているお客様はなんと21名!
マーク15はわずか一年でマーク16へと移行した経緯もあり、稀少性の高さがまた品薄に拍車をかけている状態です。
今回ご紹介したRef.IW325302以外でもマーク15時代のモデルはレアリティが高いので、ご所有されている方は、査定にだけでも出してみると良いかもしれません。
②マーク12 IW324101(3241-01)
前述したマークシリーズで、初めて民生用途でリリースされた初期モデルです。
マーク15と異なり、こちらの製造期間は6年ほど。そのため決して生産量が少ないというわけではありませんが、年式を経るに従って上質な個体が減っていき、おのずと価格が上がる傾向にあるのです(これはマークシリーズだけに限った話ではなく、全ての人気生産終了モデルに言えることです)。
さらにマーク12は、現行にはないサイズ36mmであることもミソ。
パネライの項でもご紹介しましたが、現在小径薄型ケースへのニーズが高まっており、デカ厚以前に生産されていたモデル群の人気が再び返り咲いているのです。
そんな状況ですから、マーク15シリーズ同様、マーク12シリーズ全体で相場がジワジワ上昇しています。
こちらの再入荷待ちのお客様は12人。今後経年によってますますその稀少価値が上がっていくことが予想されますので、これから買おうと思っている方は早めのご決断をお勧め致します!
③GSTクロノグラフ IW370713(3707-013)
最後にご紹介するモデルは、「GST クロノグラフ」です!こちらの再入荷待ちのお客様は現在では9名ですが、実は長年に渡って10名前後の再入荷待ちを抱えているモデルであるため、この度本項でもご紹介させて頂く運びとなりました。
GSTとは、G=ゴールド・S=ステンレス・T=チタンの頭文字で、このシリーズで使用している素材を示しています。IWC屈指のスポーツラインで、現行のアクアタイマーの原型と言われています。
このGSTはスポーティーな外観もさることながら、高い機能性も自慢!クロノグラフやアラーム機構,2000mというもはやオーバースペックな防水機能を付加したモデルをリリースするコレクションであり、1997年の登場以来、数々の名作を世に放ち続けてきました。
2000年初頭に生産終了となりましたが、いずれのモデルも本当に名作ばかりであったためか、中古市場での人気は圧倒的。
こちらのGST クロノグラフも、明るめのシルバー文字盤に上品なゴールドの針&インデックスといったデザイン性の評価がそのまま人気に繋がっており、色あせない魅力と人気を誇ります。
まとめ
当店の販売サイトの「再入荷待ち」を頂いているお客様が10名以上の、「欲しい!でもなかなか仕入れられない!」モデルを15本ご紹介いたしました!
いずれも生産終了モデルであるため、上質な個体は年々稀少性を増しており、買取店での在庫確保は熾烈を極めるばかりです。
なお、文中でも述べているように、本稿でご紹介しているモデルと同一シリーズもまた需要が高い可能性がきわめて高く、結果として高額買取の対象となります。
もし今回ご紹介したブランドの中で箪笥の肥やしになっている一本があったら、ぜひ査定だけでも持ち込んでみませんか?思わぬ高額買取が提示されるかもしれません!
文:鶴岡
この記事を監修してくれた時計博士
新美 貴之(にいみ たかゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 店舗営業部 部長
1975年生まれ・愛知県出身。大学卒業後、ロレックス専門店に入社。販売・仕入れに長年従事した。
その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験を経て、2017年にGINZA RASINに入社。
店舗運営や商品管理・メンテナンスを統括し、社員教育にも力を入れている。時計業界歴24年。