高額買取されるクォーツ時計の条件を徹底解説!
機械式時計は資産価値としての評価が高いですが、クォーツ時計となるとどうでしょうか?「使い捨て」とか「安価だから」なんて判断して、どうせ高く売れないと思っていませんか?
実はクォーツ時計でも、条件によっては高額で買い取るケースは少なくありません。
特に近年のクォーツは品質・性能ともに優れており、価値の落ちづらさは多くの買取店が認めるところです。
そこでこの記事では、クォーツ時計の高額買取について徹底解説いたします!
高額買取対象となりやすいクォーツ時計の条件は?
しばしば「クォーツ時計は高く売れない」という声に出くわすことがあります。
これは、クォーツ時計が電池を駆動力とし、電子回路によって制御される、という機構に要因があります。
ゼンマイなど金属パーツでこれらを担う機械式時計はメンテナンスを行えば末永く使っていくことができます。しかしながらクォーツ時計だと、多くのデジタル機器と同様に、電子回路には寿命があり、それに達すると時計として全く使えなくなってしまう、というのです。
確かに電池は交換すれば問題ありませんが、回路が死んでしまうとクォーツ時計としては使い続けることはできません。
この回路の寿命は「10年~20年」とも「それ以下」とも「それ以上」とも言われています。実は個体によるところも大きく、実際クォーツがどれだけ持つか、というのはまだわかっていない、とする向きもあります。
と言うのも、クォーツ時計は1969年登場と比較的歴史が浅く、加えて高級時計メーカーが進んでクォーツ時計の製造に力を入れるようになったのは最近のため、ハッキリとした回答はまだ誰も出せないのです。
近年の技術開発で格段に性能がアップしたため、さらに寿命は未知数になったと言っていいでしょう。
また、回路交換に対応しているブランドもあるので、そうなると回路の寿命=クォーツ時計の寿命とは言えません。
そのため、クォーツ時計は中古市場で価値がない、とか、買ってから年数が経っているからゴミ同然などと思うのは早計です。
とは言え全てのクォーツ時計が高値で売れるとは限りません。これは機械式時計であっても同じことですよね。
まず、高額買取対象となりやすいクォーツ時計の条件を解説いたします。
条件①有名ブランド・人気モデルのクォーツ時計
時計としての価値を聞かれた時、様々な答えがあると思います。
精度、性能、造形や意匠・・・しかしながら買取における時計の価値は、ブランドが占める部分が少なくありません。
そう、有名ブランドの人気モデルであればあるほど、高額買取対象となるのです。
クォーツ時計は、今や様々なブランドがラインナップしています。
もちろんブランパンのように「機械式時計のみ製造する」というこだわりを持ったブランドもありますが、昔ほどクォーツと機械式時計の垣根は低くなってまいりました。
「名家」「老舗」と呼ばれるようなブランドから出たクォーツ時計は高額買取されやすい逸品です。
オメガにタグホイヤー、カルティエ、フランクミュラー。世界三大時計に名を連ねるオーデマピゲやパテックフィリップから出されたクォーツモデルは言わずもがなですね。
また、日本が誇るグランドセイコーは、人気ブランドであることに加え、超がつくほど高性能なため中古市場での需要が高く、売りやすく買いやすいモデルと言えます。
人気モデルにも要注目です。
オメガのシーマスター アクアテラやタグホイヤーのアクアレーサー、フォーミュラ1など、幅広い年齢層から支持を集めるモデルは欲しい買取店が多く、高額査定が出やすいと言えます。
また、ここ数年に出た最新モデルなども積極的に買取したいものの一つです。
このように、ひとくちにクォーツと言っても、ブランド・モデルによって高額査定が出ることは少なくありません。
一方でダニエルウェリントンやマークジェイコブスといった、カジュアルブランドは人気があっても、あまり高い値段が出ないことがほとんどです。
条件②10年以内に販売されている個体
冒頭で「クォーツ時計の正確な寿命はハッキリとは言えない」と述べました。
裏を返せば、あまりにも年式が古いものはいつ壊れるかわからない危険性を内包していると言えます。
そのため、高く買取されやすい基準の一つとして、「10年以内」というものがあります。
これは、ただ単に寿命の問題だけではない理由もあります。
すなわち、買い取ってから流通ルートに流すまでの「メンテナンス費用」。
機械式時計はメンテナンスにどうしてもお金がかかってしまいます。一方のクォーツは、もちろん程度にもよりますが、多少放っておいても問題なく動くことがほとんどです。つまり買取店にとっては、いざ買い取っても修理やオーバーホールでお金がかかり、結果的に足が出る可能性がある機械式時計よりも、そのまま売れるクォーツ時計の方が実入りが高くなる、といったケースもあるのです。
そしてもう一点大切なこと。
先ほどクォーツ時計は回路が死んでしまっても交換対応してくれるブランドがある、とお話しました。
しかしながらブランドにはそれぞれパーツの保存期間があります。あるモデルが製造されているうちはもちろん関係しませんが、ひとたび生産終了した時、保存期間を過ぎればそれらは破棄されてしまいます。
オーデマピゲやIWCのように永久修理を掲げて、パーツ・製造ノウハウを永遠に保管するところもありますが、多くのブランドは保存期間が過ぎたらその時計の修理・交換に関して一切の責任を負いません。
機械式時計であればノウハウが普及しているので、生産終了および保存期間満了後もメーカー以外の時計修理工房でメンテナンスや交換できる可能性があります。ただ、クォーツは歴史が浅くまだそこまで修理ノウハウが広まっていないので、「10年」が一つの目安になっているのです、
そうは言っても、個体差は大きいです。
例え10年以上経っているものでも、質の高いモデルや有名ブランドのクォーツ時計であれば高額買取対象となる可能性は決して低いものではありません。
まずは一度査定にお出しください。
条件③電池切れを放置していないなど、きちんとメンテナンスがされているもの
「10年以内に販売されている」なら、なんでもいいわけではありません。
ノーメンテナンス&ノー使用でずっとタンスの肥やしになっていたものなどは、価値が著しく落ちている可能性があります。
特に、電池切れをずっと放置していると、内部で液漏れを起こしてしまい、回路全部がダメになってしまう、というケースが発生しうるのです。
もちろん「メンテナンス」といっても、機械式時計のように小まめなオーバーホールが必要なわけではありません。
定期的に動かす、使用後はやわらかい布でからぶきする、電池が切れていたら交換する、といったもので構いません。
むしろ、査定額を上げようとコンプリートサービスなどに出すと、利益がほとんどなくなってしまう可能性があります。
長く使うため・普段の使用をスムーズにするためにこういったメーカーのメンテナンスサービスを利用することは大切ですが、もし買取査定額をアップさせるためだけであればお勧めはできません。
条件④ダイヤモンドやゴールドなど貴石・貴金属が素材となった個体
リングやネックレスといったアクセサリーのみならず、時計の装飾としてもしばしば使われるダイヤモンド。そしてゴールド。
特にカルティエやブルガリ、ハリーウィンストンやショパールといった出自がジュエラーのブランドによってラインナップされるクォーツ時計は、こういった素材が積極的に使われていて、しかも質の良いものがほとんどです。
こういったハイエンドなクォーツ時計は素材そのものの価値が高いことに加え、女性からの支持が圧倒的なこと。さらに新品定価と中古価格の差が大きいことから、多くの時計買取店で積極的に欲しいものの一つと言えます。
ちなみにこういった時計は、たとえ電池が液漏れを起こして回路が死んだ・もうメーカーで交換してもらえない。そんな時でも価値がつきます。素材そのものの価値は変わらないためです。
ゴールドケースに傷がついていたり歪んでいたりしても、ゴールドであれば鋳つぶしてリサイクルできるので問題ありません。
ただし、ダイヤモンドが傷ついていたり欠けていたりした場合は、大幅な減額となってしまいます。
また、素材の価値だけで買い取ってもらう場合は、時計専門買取店よりジュエリーや貴金属にノウハウのあるお店の方が高値でつくこともあります。
買取の際は、複数の買取店に査定に出しましょう。
まとめ
クォーツ時計が高額買取される条件を解説いたしました。
便利で使いやすい一方で、比較定安価。そのため機械式時計と比較すると資産価値が低くみられがちですが、クォーツ時計でも高額買取対象となるモデルは少なくありません。
ただし、条件によって査定額は変わってまいります。また、お店によってブランド時計が強い・弱いといったものもあるので、時計専門の買取店を選択しましょう。そして複数店査定に出す、というのも重要です。
大切に使い続けてきたクォーツ時計。手放す時も、手をかけてあげてくださいね。
この記事を監修してくれた時計博士
新美 貴之(にいみ たかゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 店舗営業部 部長
1975年生まれ・愛知県出身。大学卒業後、ロレックス専門店に入社。販売・仕入れに長年従事した。
その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験を経て、2017年にGINZA RASINに入社。
店舗運営や商品管理・メンテナンスを統括し、社員教育にも力を入れている。時計業界歴24年。