自分の持ってる時計の価値がどれくらいなのか、ふと気になったことってありませんか。
その時に思うのは「今売ったら幾らだろう、もう少し時間が経ったらもっと高くなるんだろうか?それとも安くなるんだろうか?」というこではないでしょうか。
今日は時計の買い時・売り時のお話です。
高級時計の買い時、売り時① 為替状況
まず1つ目の要素として影響するのが「為替状況」です。
円が高ければ海外から安く仕入れることができますので、日本に輸入される時計の本数が多くなり、日本国内の市場相場は下がります。
逆に円が安ければ高く仕入れることになり、同時に輸出が活発になり海外に時計が流れていき、日本国内の市場相場は上がります。
したがって円高の時期は「買い時」、円安の時期は「売り時」と言えます。
特にこの影響を受けるのが新品の並行品です。
定価の決まっていない並行品は日々価格競争にさらされています。物流も活発に動きますので、100万円位の時計の場合ですと、為替状況によっては次の仕入時に数万円の差が出ることもあります。
つまり世界の経済事情に左右されるということです。
当然と言えば当然ですね。
高級時計の買い時、売り時② 人気
2つ目の要素は「人気」です。
特に人気が集中するモデルの場合、仕入の時点ですでにプレミア価格が付くことがあります。
例えばロレックス デイトナの定価は127万円ほどですが、市場価格は200万円前後です。
定価より高いですがそれでも相場は安定しています。
これは需要(人気)に比べて、市場に出回る時計の量が足りていないために起こる現象です。
このように並行品の価格が定価を超えてしまうようなことはめったにおこりませんが、人気モデルは常に需要が高く、市場でも高値を保ち続けますので比較的安定した価格で取引されます。
「買い時」「売り時」とは少し話がそれますが、人気モデルは安定した価格で取引されるということです。
高級時計の買い時、売り時③ 定価とモデルチェンジ
3つ目の要素は「定価とモデルチェンジ」です。
あるモデルが生産終了したり、モデルチェンジが行われた場合に、突然人気が集中し始めてプレミアが付く場合もあります。
それが自分の欲しいモデルだった場合、相場が値上がりし始めていたら後々のことを考えて、早めに買った方が良いでしょう。
逆に売るのは急いでなければ少し様子を見てからでも良いかもしれません。
また、メーカーが新品定価を値上げした場合、中古の相場も一緒に上がることがあります。
こういう時も「売り時」と言えます。
しかしこれらの不確定要素を予測するのは難しいですし、我々プロでも掴みきれていません。
ひょっとしたら値上がりするかもしれませんし、いつまでたっても値上がりしないかもしれません。
それどころか値下がりすることだってあるかもしれません。
我々プロの現場でも「この時計昔は○○円で買えたのに、倍以上になっちゃったよねー」という時計もあるかと思えば、「この時計は昔っから○○円で取引され続けてるね」という時計もあります。
するかしないか分からない値上がりを期待して、延々と使わない時計を持っているのも、それはそれでもったいないと言えます。
結論
それらを踏まえて結論を言いますと・・・
お客様自身が時計を売りたい時が「売り時」
お客様自身が時計を買いたい時が「買い時」
です。
なんじゃそれ!と思われるかもしれませんが、時計は装飾品です。
株やFXのような、お金儲けのための道具ではありません。
換金性の高さから投資的なことを謳うサイトもありますが、それはあくまで二次的な楽しみ方であって、本来時計は「身に着けて楽しむ」または「収集して楽しむ」ものです。
損しないことばかり考えて買っていたら、それは株やFXと同じようなお金儲けの作業になってしまい、本当に欲しい時計が買えなくなってしまいます。
楽しめない趣味ならもはや趣味じゃないし、利益追求するなら株やFXをやればいい話なので、あくまで趣味として楽しみつつ、手放す時にある程度は資産として考えられる、くらいの見方がちょうどいいのではないでしょうか。
だってプロの時計屋でさえも難しいのに、一般の人が時計で儲けようというのはなかなかな話だと思いますし・・・
時計本来の楽しみ方を大切に
時計選びは楽しくワクワクするものだと思います。
おそらく身に着ける物の中で、最も高価な物だという人がほとんどではないでしょうか。
私服はもちろんビジネスシーンでも使用でき、さり気なく自己表現される腕時計です。
なんなら時計をベースに服装を変えたっていいくらいの位置にいる重要なアイテムだと考えています。
これは個人的な考えですが、一生ものの時計っていうものはないと思っています。
20代30代に似合う服装があってそれに見合う時計があるように、50代60代にはそれはそれで似合う服装と時計があります。
社会人になりたての20代、落ち着きが生まれる30代40代と、成熟を迎える50代60代、ライフステージが変われば服装も相応のものに変化していきます。
そうなった時にいつまでも同じ時計では恰好がつきません。
その時その時の自分に似合う時計をきっちり選べる人がカッコイイと思っています。
ライフステージや心境に変化が起きて、ふと時計買おうかなという気持ちが生まれた時が、最も「買い時」であり、すでに時計を持っている人は同時に「売り時」でもあると思います。
という訳で、時計の「買い時」「売り時」は結局のところその人自身の中にあるということです。
着けたい時計を着けて、もっと気軽に時計を楽しみましょう!