時計店を訪れると、いつもたくさんの時計が展示されています。
安価なものから高価なものまで、その種類は様々。
ロレックスでも50万円の時計があれば、500万円の時計もあります。
同じ型式でも10~20万円程価格が異なっているものもあります。
半年前は100万円だった時計が、今見たら110万円になっていることもあります。
時計は株や為替と同じで、日々相場が変動しているのです。
「いったい時計の価格って、どのように決まっているのだろう?」
そう思ったことはありませんか?
結論から申し上げますと、高級時計の販売価格は時計業者向けオークションの価格を基準に決められています。
また買取価格も同様で、鑑定士は現在のオークション価格を調べて、それを基準に買取価格を決めています。
今回は、時計の価格がどのように決まるのか?時計業者向けオークションとは何なのか?を解説します。
時計業者向けオークションとは?
テレビで魚市場や花市場の業界オークション(セリ)をご覧になったことはありませんか?
商品を持った運営者の前に人が集まり「新鮮な鯖、○○円~スタート」という掛け声を合図に、幾らなら買うと手を上げるあの風景です。
実は高級時計もこの業界オークションが行われており、数多くの専門業者が参加しています。
規模は小規模のものから大規模なものまで様々ですが、オークション主催者を通じて時計の売買を行うという点は同じです。
ロレックス専門店、低価格帯の時計をメインに扱う店舗、レディースに力を入れている店舗。オークションに参加する業者の販売スタイルは様々ですが、並行店であれば殆どの業者がオークションを通じた取引を大なり小なり行っていると思って良いでしょう。
基本的に業者向けオークションはプロが集まり、商品交換のための場所です。
参加するには都道府県ごとの古物商許可が必要で、オークションによっては入会金や月額費用がかかります。
そのため一般の方は参加できません。
オークションに出品される品物は多種多様ですが、「個人買取業者が買取した品」や「時期を逃して売れ残ってしまった時計」などが主となります。
「足りない商品を仕入れる」
「店舗販売で利益を出しにくい商品を売買する」
業者オークションをどのくらい利用するかは店舗によって異なりますが、基本的には自社在庫を充実させることが目的です。
また、小規模オークションでは信頼性の薄い時計が出品されることもあるため、やはり参加者は大手オークションに集中しています。
時計の価格相場も業者オークションにて決まる
高級時計の世界には相場というものがあります。
相場とは「商品が取引される、その時その時の値段」の事を指し、時計業者はこの相場を大きく崩さない程度に凌ぎを削ります。
あまり知られていませんが、実は時計の「相場」は業者オークションの落札価格によって決まっており、落札された金額を元に相場が定められるのです。
特に首都圏の大規模オークションにおける相場への影響力は非常に強く、このオークションによって相場が決まっているといっても過言ではありません。
これは時計業界だけでなく車業界でも同じで、業者向けオークションにより買取価格・販売価格が決まっています。
業者オークションは仕入れコストが高い
業者オークションは一般顧客との取引ではなく業界人との駆け引きよって時計を仕入れることになるため、店舗で時計を買取する額よりも高くなります。そのため、オークション参加業者は出来る限り在庫を自社買取で揃える努力が必要になります。
しかし積極的に自社買取を強化したとしても、現状では大手買取企業でない限り、すべての在庫を個人買取で補うことは難しく、業者オークションに参加することは必要不可欠となっています。
つまり業者オークションでの取引が店舗の命運を握っているといっても過言ではありません。接客スタッフ・通販スタッフ・事務スタッフなど、時計店は様々なスタッフの力添えがあって成り立っていますが、その中でも特に仕入れを担当するバイヤーは責任重大なポジションであるといえるのです。
最後に
今回はマニアックな内容となりましたが、時計店の在庫は個人買取以外に「業者オークション」で仕入れていると知っていただければ幸いです。
また、大半の業者が業界オークションに参加するため、横のつながりが大きい業界でもあります。
ライバルであっても協力関係にあるため、相場を大きく乱したり他の店舗に影響を与えるような行動はスグに悪評となって伝わります。
例えば優良店の買取査定金額に大きな差がないという事実。これも業界の横の繋がりの強さからきているわけです。