去る2020年9月1日。ファン待望のロレックス新作が公開されました!
全部で4種のコレクションから新作がリリースしているのですが、最たる目玉はサブマリーナでしょう。
そんな中で、長らく現行として顔を張ってきたノンデイト 114060の再評価が始まっています。
もちろん、もともと商品自体の魅力には定評があり、安定した人気を誇ってきたモデルです。しかしながらデイトの116610系に比べると「資産価値」「相場」という意味では派手さはありませんでした。
しかしながら2020年新作の登場により、その様相が一変しているのです。
この記事では、サブマリーナ ノンデイト 114060の相場動向および今後の資産価値について解説いたします。
目次
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060とは
まず始めに、ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060の概要についてご紹介いたします。
①スペック
製造期間:製造期間:2012年~2020年
ケースサイズ:直径40mm×厚さ13mm
搭載ムーブメント:Cal.3130
パワーリザーブ:48時間
夜光塗料:クロマライト
防水性能:300m
定価:832,700円(税込)
②概要
2012年に誕生したサブマリーナ ノンデイト 114060。サブマリーナの中では第七世代にあたり、約8年間製造されてきました。
大きな特徴は、デイトを持たないシンプルな顔立ちでしょう。
サブマリーナは1953年に誕生したロレックスを代表するダイバーズウォッチですが、デイト表示が用いられたのは1965年と後年。そのためノンデイトの方がクラシックな印象を強く受けますね。
「クラシック」とは言え、その精神はダイバーズウォッチ。そのためロレックスのお家芸でもあるオイスターケース・ブレスレットはきわめて高い堅牢性と耐久性を有し、防水性に至っては300mを誇ります。
また、インデックス・針にはロレックスの最新夜光塗料に当たるクロマライトが塗布されており、太陽光の射さない深海はもとより、暗い場所でも時刻視認が可能となっております(ちなみにベゼルのルミナスポイント;12時位置の夜光カプセルも暗所で光るので便利です)。
さらにロレックスにはムーブメントの話も欠かせません。
こちらの自社製自動巻きCal.3130は2000年頃から使用開始されており、エクスプローラーI 114270やオイスターパーペチュアル114200等の3針ノンデイトに搭載されてきました。
サブマリーナでは、第六世代の14060Mから採用されています。ちなみにこの14060MのCal.3130への移行で以て、ロレックスの全モデルがクロノメーター化されるに至りました。
Cal.3130は20年近くに渡って製造され続けてきただけあり、大変成熟した機械として定評があります。
精度面での信頼性や安定性が高いことは言わずもがな。メンテナンス性にも考慮されており、実用機として優れた機能を発揮しています。
ちなみに114060からはヒゲゼンマイがブルーパラクロムヒゲゼンマイへと変更されたことで、きわめて高い耐磁性と耐衝撃性を獲得しました。
このように、内外ともに非の打ちどころのないサブマリーナ ノンデイト 114060ですが、近年モデルチェンジに伴う生産終了の噂がありました。
もともと噂の発生源は、デイト付きの116610系です。
と言うのも、近年ロレックスは長年親しまれてきたCal.31系を、新世代ムーブメントCal.32系へと移行しつつあったためです。
この移行のメスがサブマリーナには加えられていなかったため、2020年は当該シリーズの番なのではないか、と。
実際、116610は誕生10周年ということもあり、キリも良かったのでしょう。
蓋を開けてみれば、ノンデイトの114060も一緒に移行と相成ったわけです。
次項では、そんな2020年新作サブマリーナ ノンデイトについてご紹介いたします。
ロレックス2020年新作サブマリーナ ノンデイト。114060とどう違う?
2020年新作サブマリーナ ノンデイトの、旧型からの大きな変更点は以下の通りです。
◆型番変更:114060⇒124060へ
◆ケースサイズ変更:直径40mm⇒直径41mmへ
◆ムーブメント変更:Cal.3130⇒Cal.3230へ
出典:https://www.rolex.com/ja
驚くべきは、ケースサイズの変更でしょう。
サブマリーナは初期を除けば長年、直径40mmケースを継承してきました。
わずか1mmとは言え、そのケースサイズが変更することとなったのです。当然、時計業界では大きな話題となりました。
ちなみにロレックスは新作発表前のティザー広告で「out of the blue(意訳すると青天の霹靂)」と銘打っていたのですが、まさにその通りとなりましたね。
出典:https://www.rolex.com/ja
ケースサイズが変わるということは、当然ながらケースの設計そのものがリファインされるということ。
厚みは大きく変わっていないのですが、ラグ幅が20mmから21mmへと変更。そのためラグがシュッとスリムになったこと。加えてリューズガードがより優美なフォルムとなったことで、ヴィンテージを思わせるクラシックテイストを強めました。
1mmのサイズアップとは言え、一見するとスリムに見えるのはこういったディテールのためでしょう。
さらに、前述した新世代ムーブメントCal.3230へと移行されています。
出典:https://www.rolex.com/ja
どう「新世代」なのかは、性能にスポットを当てると見えてきます。
まず、新しい脱進機「クロナジーエスケープメント」を使っていること。このニッケル・リン合金で構成された画期的な脱進機は、高効率と優れた耐磁性能を有するに至りました。
さらにこの脱進機は、パワーリザーブの大幅延長にも貢献しています。従来のCal.3130がパワーリザーブ約48時間であったことに対して新世代は約70時間。約一日分も延長されたことがおわかり頂けるでしょう。
その他高精度・高信頼性はもちろん、カレンダー変更の操作禁止時刻を撤廃したことも意義深い点です。
この新作サブマリーナ ノンデイト 124060の定価は税込854,700円。本稿でフォーカスしている114060は税込定価832,700円ですので、だいたい2万円程度の価格差となります。
なお、新作はこの記事の執筆時点ではまだ市場には流通していない状態です。
発表後すぐに販売スタートするとの情報がありました。オイスターパーペチュアルといった一部新作は既に出回っているようですが、サブマリーナの確認はとれていません。
新作情報につきましては、当店で仕入れ次第、おってご報告させて頂きます。
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060の相場動向
「生産終了したモデルは相場が上がる」
これが定説になりつつあるロレックスですが、当然全てのモデルが当てはまるわけではありません。
ただ、やはり新作発表前後では、「生産終了が怪しい」モデルに買いが集中する傾向は確かにあります。114060のような、定番人気商品であればなおさらです。
こちらが、当店GINZA RASINで販売した114060の、年度別の平均価格推移です(中古モデルを対象)。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 774,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 929,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 1,044,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 1,125,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,331,000円 |
すごい勢いで上昇していることがおわかり頂けるでしょう。
繰り返しになりますが、もともと人気機種。そのためここ一年程は定価を大きく超える100万円~110万円程度の販売価格で推移していましたが、新作発表後にガツンと上昇(厳密には、ティザー広告が出てから急騰した)。
並行相場は中古であっても140万円前後。新品や未使用品ともなると、150万円を超えることは珍しくありません。
※記事執筆時点の相場です。現在、非常に値動きが激しいため、詳細はお問合せ下さいませ。
ちなみにデイト付きグリーンサブ 116610LVの平均相場が280万円前後(!)、黒サブ 116610LNが170万円台~へと相場上昇させています。
かつて、「まだ安く買えるロレックス」と語られることもあった114060ですが、もはやその面影はなくなりました。
では、今後もこの相場上昇は続いていくのでしょうか。すなわち、114060の資産価値は上昇するのでしょうか。
サブマリーナ ノンデイト 114060は、製造期間約8年。決して長寿命と言うわけではありませんが、人気どころであったことも幸いして、流通量は少なくありません。
そのため今後も相場がグングン上昇して、現在の116610LVの相場超え・・・といったことは考えづらいでしょう。
しかしながら高値傾向は続いていくと思われます。
流通量は少なくないとは言えそれを圧倒的に上回る需要が114060にはあること。生産終了から年月が経るごとに上質な個体は市場から減っていき、稀少性が高まっていくことがその理由です(また、ロレックスは2020年に新型コロナウイルスの影響で減産していることも、流通量の減少に拍車をかけています)。
なお、既に新型サブマリーナ 124060などが出回ってきているにもかかわらず、価格が上昇し続けているのも特筆すべき点です。新型は1mm大きいため、新旧で人気が分散されるかと思いきや、世界的な需要が高すぎる影響か。新旧サブマリーナはいずれも高値を維持し続けている状態です。。
こういった市況から、現在サブマリーナ ノンデイト 114060を所有されている方は、大きな売り時を迎えていると言えます。
なぜなら、114060リリース以来、類を見なかった価格高騰を記録しているためです。
114060は前述の通り、長らく「まだ安く買えるロレックス」でした。
初出の2012年は円高傾向だったこともあり、平均価格は50万円程度。その後ジワジワとあがっていくものの、2017年頃までは定価を超えるプレミア価格ではありませんでした。
つまり、この当時に114060をご購入されていた方がいれば、買値に対してお得感の高い買取査定額が提示される可能性がある、ということ。
もちろん未来の相場は誰にもわかりません。今後、114060の取引額がさらに上昇する可能性だって当然あります。
しかしながら、今一つの大きな売り時を迎えていることは間違いありません。
もっとも、時計は精密機器。時間が経てば経つほど基本的には機械としての価値が落ちていくものですので、使っていなければお早めにお売りになることをお勧めいたします。
なお、2020年よりロレックスのギャランティ(保証書)が新型へと変更されています。
そのため新ギャランティ付属のサブマリーナ ノンデイト 114060は、今後稀少な個体となっていくことでしょう。
まとめ
ロレックス サブマリーナ ノンデイト 114060の相場動向について解説いたしました!
リリースからはや8年が経ち、モデルチェンジとなった114060ですが、ロレックス市場の拡大と併せて、過去類を見ないほど価格を上げています。
そのため、今大きな売り時を迎えており、売却をお考えの方は一度査定だけでもお持ち頂くことをお勧めいたします。思わぬ買取額が提示されるやもしれません。
なお、文中でも述べているように、新作の流通が始まればまた相場は変わってくるでしょう。
今後も、114060の相場動向を追っていきたいと思います!
文:鶴岡
■レアロレックス確定!サブマリーナ 116610LV・116610LNの新ギャラ付個体
■急騰!ロレックス サブマリーナ 116613LN・116613LBの最新相場
この記事を監修してくれた時計博士
池田 裕之(いけだ ひろゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
1982年生まれ・熊本県出身。
20代でブランド販売店に勤務していく中で、高級時計に惹かれ、その奥深さや魅力を知っていく。29歳で腕時計専門店へ転職を決意し、GINZA RASINに入社。
豊富な時計への知識を活かして販売・買取・仕入れに携わり、2018年8月にはロレックス専門店オープン時、店長へ就任した。販売・買取ともにリピーターが多い。時計業界歴17年。