「腕時計を買取してほしい!」。理由は様々ですが、腕時計を手放そうと考えている人は少なからず居るはずです。そんな時、迷ってしまいませんか?どこに買取を依頼すればいいのかと。
現在日本では当たり前のように「買取」が行われています。街の至る所にリサイクルショップが存在し、さらには時計やブランド品に特化した買取専門店ですら、世の中に数多く存在します。そして、普段馴染みのない「質屋」に預けるという選択肢も。
今回は意外と知らない「質屋」と「時計専門店」の違いを解説します。腕時計をどこに売ればよいのか迷っている方は必見です。
質屋とは?
簡潔にいうと、質屋は”品物を預かり、代わりにお金を融資する店舗“のことです。
物を売ってお金に換えるという意味では「買取店」も「質屋」も一緒ですが、質屋は「品物を担保にする」という買取店とは大きく異なる点があります。
「品物を担保」にすることで、その品物の評価額に応じた金額を”借りる”ことができるのが質屋であり、商品を売ってお金を得るのではなく、あくまでお金を貸してくれる形態です。
一般的に馴染みのない人が多い質屋ですが、「腕時計・ジュエリー」や「貴金属」は質屋に持ち込まれる商品として大変メジャーなものであり、 腕時計と質屋は関係が深いものといえるでしょう。
特にロレックスの腕時計は頻繁に持ち込みされています。その為、質屋の腕時計に関する専門知識はかなり高く、時計専門店と比べても遜色のないレベルです。
①質預かり
質屋最大の特徴は「質預かり」と呼ばれる特有のシステムです。質預かりとは「お客様から品物を預かり、その価値に応じて融資をする」というシステムです。
例えば、ブランド品を質屋に預けにいったとします。利用者はその価値に応じた金額を質屋から頂くことができ、質屋はお客様から預かった品を「質蔵」と呼ばれる倉庫で保管します。
質屋が買取店で行われる買取と決定的に違う点は”品物をお金に換えたあとでも、一定期間内であれば利息を含むお金を返すことで、品物を取り戻すことができる”点です。
一定期間と書きましたが、この期間は「流失期限」といわれており、多くの質屋が3ヵ月の期限に設定しています。
②質流れ
流失期限までに元金と利息を返せば、利用者は預けた品物を返してもらうことが可能です。ただ、返すことができなければ、預けた商品の所有権は質屋に移ります。 このことを「質流れ」と呼び、一度「質流れ」になってしまったものは一切手出しができなくなります。
とはいっても、たとえ返済できなくても”品物を失う”だけで、その他のデメリットはありません。また、預けたときに貰ったお金は返済する必要もありません。
③質屋の利息
質屋は買取専門店と違い品物をお金に換えたあとでも、一定期間内であればお金を返すことで”品物を取り戻す”ことができます。ただ、お金を返す時に利息を払わなければいけません。つまり、利息を含んだ金額を返せなければ”品物を取り戻す”ことはできないのです。
質屋の利息のことを「質料」と言います。質屋営業法で定められた質料は月9%までが認められています。年9%ではなく月9%というのがポイントであり、一般的な金融業者とくらべてもかなり高い金利となっています。
ちなみに大手質屋は質料「3%~8%」くらいで定められていることが多いです。
10万円の品物を質屋に預け、取り戻すのに必要な金額【質料が5%の場合】
1ヵ月目 100,000円 + 5000円(質料5%) = 105,000円
2ヵ月目 100,000円 + 5000円(質料5%) = 110,000円
3ヵ月目 100,000円 + 5000円(質料5%) = 115,000円
また、3ヶ月目以降も「質料」を支払えば期限を延長することができます。上記の場合、月5000円払うことで1ヶ月間質流れになるタイミングを遅らせることができます。しかし、質料を払い続けるだけ損をするので、出来るだけ早く取り戻すことが大事です。
④質屋の利用に向いている人
極端な話、質屋はモノを売りに行くところではなく、お金を借りに行くところです。ですので、質屋の利用に向いている方は「今すぐに現金が欲しい」人に限られます。 また、質屋に預けたときに貰える金額は、買取店と比較すると約2~3割低く設定されていることが一般的であり、高額で買取してほしい人には向かないのが現状です。
買取専門店/時計専門店とは?
一般的に買取専門店とは”品物を査定に出し、査定額に応じた金額に換える“お店です。
取扱商品はお店によって異なりますが、専門的な商品の買取を行う店舗を「買取専門店」と呼びます。ただ、実際に「買取」だけを専門に行う店舗は少なく、「販売」も並行して行っていることから、時計なら「時計専門店」、楽器なら「楽器専門店」といった具合に「○○専門店」と呼ばれることがほとんどです。
質屋は「品を預けること」でお金を融資してもらうシステムだった為、消失期間が過ぎない限りは所有権は自分にありました。しかし、「品物を売ることでお金に換える」店舗での買取は「お金に変えた時点」で品物の所有権は店舗に移ります。基本的には、一度買取されたものは二度と戻らないと思ってください。
ですが、二度と手元に戻らない代わりに、買取額は質屋よりも高くなります。思い入れがあり売り切るのには未練がある品以外は、買取専門店で買取してもらう方がオススメです。。
①リサイクルショップの利用は損!?
よく街で見かけるリサイクルショップと買取専門店を混同されている人も多いですが、 リサイクルショップは書籍・家電・ホビー・家具・服・貴金属など買取可能な商品が多岐にわたるお店のことを差し、専門的な商材を扱う店舗とは買取の質に違いがあります。
リサイクルショップで買取依頼をするデメリットは、専門店や質屋さんに比べて時計に関する商品知識がどうしても乏しくなりがちなこと。
取扱商品が多岐に渡るリサイクルショップでは 、全ての商品に対する知識を蓄えることがとても難しく、浅く広い知識になりがちです。その為、本来の商品価値を理解してくれず、買取価格が低く査定されてしまうことも少なくありません。
高額商品を持ち込むのはオススメできませんが、基本的になんでも買取してくれるのがリサイクルショップなので、用途に応じて利用しましょう。
②時計専門店ならではの知識
専門買取店の強みは、なんといっても「商品知識」が豊富であること。専門店ならではの知識により、他店では理解されなかった価値を見つけ出し、その商品に見合った適正価値を査定してくれることが最大のメリットです。
ここではロレックスの時計を例に時計専門店ならではの目の付け所を紹介します。
ロレックスは100年以上の歴史を持つ有名高級腕時計ブランドです。現在まで膨大な数のモデルやシリーズが発売されたロレックスですが、中には”レアロレックス”という非常に価値の高い個体が存在します。
レアモデルと通常モデルの違いは細かな違いであり、知識がなければスルーしてしまいがち。しかし、その細かな違いにより時計の価値が数十万、もアンティークモデルであるなら数百万の価値が生まれる個体もあります。
左:通常印字 右:センタースプリット
同じモデルでも、2段の英字中心部分が綺麗に分かれている個体は価値が高いです。細かな文字の違いですらロレックスの時計は価値が大きく変わります。
左:通常インデックス 右:ブラックアウト
通常インデックスの3・6・9の上には通常、白いラインが入っているのですが、ブラックアウトにはインデックスの上に白いラインがありません。この特徴のある個体はレアロレックスとして、査定金額が高くなります。
左:通常ベゼル 右:ファット4
グリーンサブと呼ばれるモデルに存在するレアポイント。「4」の文字が隙間が広くなっているのがファット4。こちらも高い価値を誇ります。
このような細かい差ですら見逃さず、その時計の適正価値を見出してくれる専門知識は買取利用者にとって非常にうれしいポイントです。
③宅配買取もできる
現在買取専門店ではWEB買取も盛んになっています。宅配キットを利用し、品物を買取店に送ることで、来店せずに査定・振込をしてもらうことが可能です。質屋の場合は品物を預ける際に必ず来店し、手続きしなければならないので、手間が省けるメリットも買取にはあるといえます。
質屋と時計専門店どっちが良いの?
質屋のメリットは「品物を取り返す」ルールが明確に定められていることです。すぐに現金が欲しい!でも、この時計には未練がある。そんな人にピッタリなのが質屋です。ですが、取り返すために元金に利息を足した金額を返さなければならないのは金融と同じ。
未練なく時計を売り切る覚悟があるなら、質屋よりも買取金額の高い「時計専門店」で買取をしてもらうほうが確実にお得です。
質屋、時計専門店どちらにもメリット・デメリットが存在します。もし、お気に入りの腕時計を手放す時が来たら”自分の状況”にあった後悔のない選択をして頂けたら幸いです。